へブンズパスポート
HEAVEN'S PASSPORT
最近、女子高生の間で「へブンズ・パスポート」というのが流行っているそうだ。(東急ハンズやロフトで950円で販売されている) 大きさや表紙のデザインは本物のパスポートに似せて作ってある。何かよいことをしたら、その都度シールを1枚貼る。それが100枚たまると願いが叶うらしい。布でできたブレスレットで、「ミサンガ」と呼ばれるものは数年前から流行っている。ミサンガは切れたとき自分の願いが叶うらしいが、切れるのをひたすら待つだけの受動的なものであった。このパスポートはただ持っているだけでは効果はなく、積極的によいことをしなければならない分だけ能動的である。最初から見返りを求めてよいことをして、果たしてそれなりの結果が返ってくるかどうか疑わしいが、やらないよりかはマシなのだろう。
デビッド・カッパーフィールドという、アメリカでは絶大な人気のあるマジシャンがいる。昨年(1998年)あたりから日本でも連続して公演をしているので、だいぶ日本でも知られるようになってきたが、アメリカでの知名度と比べると、まだまだかも知れない。マジックに興味のない人は知らないと思うが、彼の年収は50億円を超えており、Forbes誌によると、芸能部門のランキングでは6位になっている。マドンナ、ケビン・コスナー、アーノルド・シュワルツネッガーなどより上位にランクされている、スーパースターと呼んでもよいマジシャンである。
デビッド・カッパーフィールドは、障害者のリハビリや機能回復にマジックを使った独自の機能訓練用メソッドを開発している。指先の訓練に、マジック特有の細かい動きがリハビリになるらしい。カッパーフィールドはこれをボランティアで行っている。「へブンズ・パスポート」を作った人は四国在住のデザイナーだが、このカッパーフィールドのボランティア活動に感激して、パスポートを作ったそうである。
10日ほど前、amazon.comというインターネットで洋書が買える本屋から数冊の本が届いた。その中の一冊に、デビッド・カッパーフィールドの"Tales of the Impossible"もあった。これはマジックの解説は皆無で、彼自身が書いた、"Snow"という子供時代の体験を綴った小説も入っている読み物である。
この本の裏表紙に、 "If it can be imagined, it is real."「イメージすることができれば、それは実現したのとおなじこと」「イマジネーション即リアリティ」(三輪訳)と書いてあった。どうやらこれがデビッド・カッパーフィールドの信条であるらしい。
おそらく、これこそが彼の最大の「秘密」であったはずなのだ。「自由の女神」や「オリエント急行」を消したり、「万里の長城」の壁を通り抜けたり、「グランンドキャニオン」の上空やステージを自由に飛び回る「秘密」よりも、このほうが数段「秘密」としては重要であるはずなのだ。それを彼が公開したのは、言ったところで、ほとんどの人はただの「ことわざ」か「人生訓」としか受け取らないことを知っているからだろう。
しかし、これはそのようなものではなく、まさに文字通り、あのとおりのことが起きる。イメージできれば、それは本当に現実になる。人は心の底から願うこと、祈りにも似た純粋さで願い、それをはっきりとイメージできれば必ず実現する。100%とは言わないが、私の実感では95%くらいは現実になる。
先の「へブンズ・パスポート」に話を戻しても、あのようなお遊びであっても実現してしまう。実際には百回よいことをするまでもなく、強くイメージしていれば、本当にそれが実現する。「想念の魔術」とでも言ってもよい。もし実現しなかったら、それはあなたが本当は望んでいなかったか、誰かに迷惑をかけるようなことなのだろう。少なくとも、誰にも迷惑にならず、多少なりともこの世に貢献できることであるのなら、それはきっと実現する。
最初から見返りを期待しての親切では動機としては不純かも知れないが、女子高生に限らず、みんなが100コの親切を目指して行動したら、日本はすぐに天国になるだろう(笑)。とくにコギャルと呼ばれる女子高生あたりが、一人100も良いことをしてくれたら、天変地異が起きるかも知れない。