具体例を紹介します。
Aさんは中学2年の途中で面接に来られました。このとき、市内の公立中学で5教科はオール「5」でした。学年全体でも上位の10%にいるような方でした。しかし自分では、「5教科の中でも特に英語に自信がなくモヤモヤした状態が続いている」とおっしゃっていました。それでもなんとか中間、期末テストを乗り切ってこられたようです。
Aさんは二つ個別指導の塾に通い、懸命に努力されたのち、やはり望む結果が出せず三輪塾の門を叩かれました。
面接の際、どのような状態なのか知りたくて、試しにいくつか英文を作ってもらいました。すると”He can swimming.”等、ユニークな答えが返ってきます(笑)。
そうかあ、 Aさんに「本物の基礎」を指導してあげれば、ぐんぐん伸びるだろうなと確信しました。 「本物の基礎」というのは、英語学習の初期で私が一番大切だと思っていることです。
他の塾のことはよく知りませんので何とも言えませんが、ただテキストをやっているだけでは思うような結果は出せません。生徒は能力において個人差があり、何を教えるか、どう教えるか、一人ひとり微調整が必要です。
中学のときはよくわからないままでも丸暗記し、中間、期末テストなど範囲の限定された定期テストではなんとか8割を超えるような点を取っていても、高校生になりますと、そのような勉強のツケがどっと回ってきます。
高校の模試では50点も取れず、全国的な偏差値でみると40台をさまようということになります。Aさんを2、3回教えますと、「英語ってこうやって勉強するのですね。驚きました。」とおっしゃっていました。
私も2,3回教えただけで、そう感じてもらえたことが嬉しかったことを覚えています。
三輪塾での英語をもう少し具体的にご紹介します。
三輪塾で中学1年の最初に教えるのは、まずbe動詞です。そのあとすぐに名詞、形容詞、副詞を教えます。一般動詞は勿論教えますが、これはひとまず普通の意味がわかればOKです。
なぜ早い段階で、このようなことを教えるかと言いますと、これが英語の骨組みと密接な関係があるからです。たとえば不定詞であれば名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法などが出てきます。不定詞に、なぜこのような名前が付いているのか、おおもとの名詞、形容詞、副詞の働きを知らないとわからないのです。
多くの中学生は「何々すること」と訳せるから名詞的用法、「何々するために」と訳せるから「副詞的用法」と覚えていることが多いのですが、これでは話が逆です、確かに名詞的用法の不定詞は「何々すること」と訳せることが多いのですが、「何々すること」と訳せるから名詞的用法と言っている限り、まったく使いものになりません。なぜそのような名前が付いているのか、わからないのです。
動名詞と分詞の違いもわからない人が大勢います。同じ「〜ing」の形をしていても、動名詞であれば名前のとおり名詞の働きをします。分詞は名詞を修飾する形容詞の仲間として働きます。中学では出てきませんが分詞構文の分詞は副詞として働いています。
関係代名詞や関係副詞は一個の名詞を後ろから説明する形容詞の働きをしています。
つまり中学1年生の最初の段階で名詞、形容詞、副詞の働きがわかっていないと、そのあと、どれもよくわからないまま暗記するだけという勉強になってしまいます。本来、このようなことは最初の段階でわかっておくべきことなのです。Aさんの場合、入塾が中学2年生の途中ということでしたので、急いで先ほどのようなことを教えました。すると不定詞の名詞的用法や形容詞的用法、副詞的用法がなぜそう呼ばれているのかわかり、分詞の働き、関係代名詞、関係副詞なども理屈がわかり、あっという間に中学文法を自分のものにされました。
そのあと、Aさんは覚えている単語の量をふやすこと、長文を大量に読むこと、『瞬間英作文』(市販の本です)の全例文が瞬時に出てくるまで反復され、見違えるほど英語が伸びました。それまでは英語が一番苦手だとおっしゃっていましたが、受験のときは5教科で英語が一番得意と言えるまでになっていました。
その後、Aさんは志望高校をワンランク上げ、市内では最難関の高校を受験し、みごと合格されました。