Very Best集

The Card under the Glass

 

Card under the Glass

2000/6/20

最初に

日本でも、マジックを見せてもらえるバーなどが増えてきました。バーテンダーの人がマジシャンを兼ねていて、手が空いたときに一つ二つ見せてくれる程度のものから、最初からマジックを見せることを売り物にしている店もあります。

このような場所でよく演じられているのが、「カード・アンダー・ザ・グラス」と呼ばれるマジックです。確かにこのマジックは、バーなどで演じるのが最適です。ある程度場所の条件が整わないとできませんが、ミスディレクションの訓練にも最適ですから、一度は練習しておくとよいでしょう。

現象

このマジックは、途中の現象は演じる人によって様々です。最後は同じですが、途中、どのような現象を見せるかはマジシャンの好みで変わってきます。前半の例として、ひとつ紹介しておきます。

一組のトランプから、観客にカードを一枚選んでもらい、覚えたらデックに戻します。カードをよく切り混ぜてから、テーブルに一組のカード全体を表向きに広げると、真ん中あたりに一枚だけ裏向きのカードがあります。観客にそれを表向きにしてもらうと、確かにそれが観客のカードです。最初同じ向きに入れてよく切り混ぜたのに、不思議なことに観客のカードだけが中央でひっくり返って現れました。

もう一度繰り返します。いったんひっくり返ったカードを他のカードと同じ向きにそろえてから切り混ぜ、全体を広げます。また中央にひっくり返っているのかと思い、よく見ますがひっくり返っているカードは一枚もありません。全部、同じ向きです。

マジシャンが失敗したのでしょうか。いえ、そうではありません。観客が、今まで飲んでいたその人のグラスを見てもらうと、そのグラスの下に一枚のカードがあります。グラスを持ち上げ、そのカードを見てもらうと、それが観客のカードです。

この最後の部分、観客が今まで飲んでいたグラスの下から、突然カードが現れる部分が「カード・アンダー・ザ・グラス」と呼ばれる現象です。自分のグラスの下からカード、しかも確かにデックの中に入れてたはずのカードが出てくるのですから、観客は驚きます。

前半は「アンビシャスカード」もよく演じられています。

このマジックは、元来、バーのカウンターで見せていたものですから、カウンターの大きさなどによって、ヴァリエーションが数多くあります。グラスに限らず、缶ビールやコーラ、ジュース等の缶でもできます。飲み物も、観客のものではなく、マジシャンが飲んでいたグラスの下から出すこともあります。また、飲み物に限らず、タバコ、ライター、コースター、小皿など、テーブルの上にある小物であれば、何でもその下からカードを取り出すことができます。

最後に

多くのバーテンダーが演じていますが、ビデオではJ.C.Wagnerの"Commercial Magic"(A-1 Video)、書籍でも同じワグナーの"THE COMMERCIAL MAGIC OF J.C. WAGNER"(Mike Maxwell著)があります。

これだけを解説した小冊子ではTommy Middletonの"Bottoms Up"(1997年 Oasis Ltd. 12p) があります。


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