AT THE CARD TABLE
カード・マジックの技法
第2回
シャッフル
「リフル・シャッフル」
1999/11/22
カードを切り混ぜることを「シャッフル」"Shuffle"といいます。
シャッフルの方法だけでも何種類もあります。日本で一般に行われているような切り方、あれは「花札」を切るときの切り方です。「ヒンドゥー・シャッフル」と呼ばれるもののひとつに分類されています。他にも、西欧の人が一般によく用いる「オーバー・ハンド・シャッフル」と呼ばれるものがあります。
今回紹介するものは、ラスベガスをはじめ、世界中のカジノなどで使われているシャッフルの仕方です。ディーラーの人はカードを配る前に、必ずシャッフルします。そのとき用いるシャッフルを「リフル・シャッフル」と呼んでいます。「リフル」というのは「パラパラと弾くこと」です。このシャッフルはマジックでもよく使われます。第1回目で「カードの持ち方」をやりましたが、持ち方以上に、シャッフルの仕方を見ればその人がどのくらい、カードに慣れているか、すぐにわかってしまいます。シャッフルを鮮やかにやるだけで、一般の人には「カードの達人」と見えるようです。
<リフル・シャッフル>"Riffle Shuffle"
まず最初、「ディーリング・ポジション」で左手に持っているデックを、いったん右手を添えて、写真【1】のように持ちます。そのまま右手だけで写真【2】のように持ち、テーブルの上に横向きに置きます。
写真【1】
写真【2】写真【3】(下の左)のように、両手でデックを持ちます。このときの指のポジションは、親指が手前、人差し指がデックの上、中指と薬指がデックの向こう側、小指がサイドにあります。(写真【指の位置】(下の右)を参照:赤−親指、黒−人差し指、緑−中指、黄−薬指、青−小指)
右手の親指で、下の写真【4】のように、デックの上半分を持ち上げます。持ち上げるといっても、実際は、5ミリから1センチ程度、手前側を上げて、すぐに下半分の右となりに置きます。何度か練習して、ほぼ半分に分けられるようにしてください。最初は、2,3枚の誤差はあってもかまいません。
写真【4】左の写真【5】のように、ふたつにわけたデックの間が、「Vの字」になるように置きます。このとき左右の枚数をチェックできます。Vの字の手前部分ではふたつのパケットが接触していますから、厚みが違うとすぐにわかります。本当は【4】のようにわける段階で、左右の枚数がぴったり同じになることが理想です。今はシャッフルの練習ですからあまり気にしなくてもかまいません。V字型にしたとき、極端に枚数が違う場合は、多すぎるパケットから何枚か少ないほうに移して、左右のパケットがほぼ同じ枚数になるように調整してから、次の動作に進んでください。(実際はわけた後で、枚数を調整するようなことは絶対しません。わけたらすぐに、シャッフルの動作に移ります。)
この後、写真【6】のように、両手の親指で、パケットの手前を少し持ち上げます。(固い机の上では、この動作は大変やりにくくなります。クロース・アップ・マットを敷くか、なければ何か適当な布を敷いてやってください。)親指で持ち上げたら、人差し指、中指、薬指の3本でパケットの前方の端をしっかりテーブルの上に押しつけて、動かないようにします。
写真【6】この後、親指の腹で、カードを一枚ずつ、パラパラと下に弾いて行きます。最後は写真【6−2】のように、V字に接触していた部分で、トランプが1枚から数枚ずつ重なります。
写真【6−2】ここが、リフル・シャッフルで最も練習のいる部分です。左右均等に落ちるように、最初はゆっくりと弾いてください。実際には、左右同時に落とすのですが、今は意識的にゆっくり落として、6秒から8秒くらいかけて、全部が落ちるようにスピードを調節してください。最初の頃は、どうしても一枚ずつ弾けず、数枚がかたまりのまま、ドサッと落ちたりするでしょうが、練習を続けているうちに、左右が均等に落ちるようになります。最終的には、1,2秒で全部のカードをリフルできるようにします。
もうひとつ、注意することとして、先ほどの写真【6】のように持って弾いて行くとき、V字型になったまま持ち上げ、そのままの位置で弾いても、カードは上の【6−2】のようには重ならないはずです。それで、実際は、【5】から【6】に持って行くとき、左の写真【7】のように、左右のX印のところを回転の中心にして、矢印のようにV字の部分を少し前に押す感じで、持ち上げます。このときXの位置は回転するだけで、前後、左右には動かないようにしてください。今の動作で、V字の接触していた部分が前に出て、左右のパケットが少し重なるようになります。この状態から弾いて行くと、左右のパケットのコーナーが1センチ程度重なります。なお、写真【7】はカードを扱っている人から見たものであることに注意してください。手前が術者側です。
もう一種類、リフル・シャッフルの解説をします。指のポジションが違うだけです。実際は、こちらのほうを先に練習したほうがよいかも知れません。
先ほどの写真【5】を見てください。このときは、両手がこの位置のままパケットを持ち上げましたが、今回は少しポジションを変えることにします。写真【8】のように、両手を中心に近い位置に持ってきます。親指はV字の接触している辺りをそれぞれ持ち上げます。
写真【8】写真【8】のポジションから、親指で手前を持ち上げたのが下の写真【9】です。親指の位置を確認しておいてください。
写真【9】このポジションのよい点は、カードの表面が、シャッフルしている最中、まず絶対に、周りの人から見えないことです。初心者の人がリフルシャッフルをすると、弾き方やそらせ方によって、カードの表面が他の人に見えることがあります。【9】のように持つと、両手がカバーになり、表の数字が見えることはありません。下の写真【9−2】はリフルし終わったところです。
写真【9−2】カードを全部リフルしたら、両手を【10】(下の左)のように持ち直して、V字ができているデックを一直線になるようにします。(写真【11】下の右)
写真【10】(左): 写真【11】(右)
一直線にするとき、V字の重なっている部分を抜かないようにして、全体が1センチから2センチくらい重なるようにします。横から見たら下の写真【11−2】のようになっています。
写真【11−2】【11】の位置から、両方のパケットを中央に押し込んで行くと、下の左の写真【12】のようになります。
写真【12】(左):写真【13】(右)
半分くらい入れると(写真【12】)、摩擦でかなりの抵抗がありますから、いったん止めて、上の右【13】のように、指のポジションを変えます。このとき、両方の親指の先はデックの手前中央あたりに接しています。中指は、左右のコーナー付近にあります。このポジションは大変重要です。写真をよく見て、しっかり確認してください。両手の中指で、パケットを左右から押し込みます。(下の写真【14】)
写真【14】この後、下の写真【15】のように、中指をパケットのサイドで擦りながら、親指と接触するところまで絞るように、移動させます。この絞るような動作で、デックの手前両コーナーがそろいます。
写真【15】以上で、リフルシャッフルをして、揃えるまでの動作は終わりです。このあと、リフルシャッフルから、揃える動作までがスムーズに できるように、何度も練習してください。続けて練習を行うのであれば、【15】から、またデックをV字型にわけて、同じようにやってください。