Online Lecture

 

Cocktail Cards

カクテル・カード


1999/10/3


最初に

「オン・ライン・マジック教室」の第7回目です。

「オン・ライン・マジック教室」には多くの方から参加の申し込みをいただいています。特にこの2,3ヶ月は、毎日、新規の方、数名から申し込みがあります。そのような方の中には、宴会や、結婚式、ちょっとした集まりでマジックをやってみたいので、教えて欲しいというものが、相当な割合で含まれています。

私が、この「魔法都市案内」で紹介していますマジックの大部分は「クロース・アップ・マジック」と呼ばれる分野のものです。ごく少人数の人を相手に、目の前でトランプやコイン、ダイスといった、日常よく見かける品物を使って見せるマジックが中心です。そのため、今まで紹介してきました「オン・ライン・マジック教室」のトリックも、目の前で演じるものが大半です。例外的に、「脱出するコイン」は人数の多い場所でも実演可能ですが、あれは少々特殊なマジックですので、誰でも、どこでもできるというものではありません。

今回紹介します「カクテル・カード」は、観客が数名から数百名くらいいる場所でも実演可能です。技術的にも難しくありませんし、準備もほとんど不要です。トランプが一組と、紙袋がひとつあればいつでもできます。

このマジックの原案はダイ・ヴァーノンというプロマジシャンです。1959年に出版されました"Dai Vernon's Inner Secrets of Card Magic"(Lewis Ganson)という本の中で発表されたトリックが元になっています。ヴァーノンは1992年に、98歳で亡くなっていますが、過去数十年に渡って、マジックの世界では、「プロフェッサー」という称号で、世界中のマジシャンから敬愛されていた人です。このトリックも原理はシンプルですが、大変優秀なマジックです。技術的には特殊なテクニックも不要で、数回、練習しておけば、すぐに実演できます。なお、上記の本は4部作として、現在でもアメリカのL&L Publishingから購入可能です。

ヴァーノンの原案では、男性のソフト帽を使って演じるようになっていましたが、現在ではそのような帽子をかぶっている人はほとんどいませんので、普通の紙袋でもできるように私が変えました。基本の原理だけは同じです。

現象

観客の一人に出てきてもらいます。この人に助手になってもらい、手伝ってもらいます。

この助手の人に、一組のトランプを手渡し、よく切り混ぜてもらいます。それをいったんテーブルの上に置いてから、5つの山に分けてもらいます。分け方は適当でかまいません。見た目で、各山がだいたい同じくらいの枚数になっていれば問題ありません。

5つの山のうち、一つを取り上げてもらい、それを持って、客席にいる、観客の前に行ってもらいます。適当な観客を決めてもらいます。その観客をAとします。助手の人は手に持っている10数枚のトランプを裏向きに広げ、Aの人に1枚のトランプを取って覚えてもらいます。

同じように、別の観客(この人を観客Bとします)にも1枚取ってもらい、覚えてもらいます。二人でもよいのですが、もう一人くらい増えてもかまいません。今回は3人に取ってもらったことにします。観客、A,B,Cが、それぞれ自分の取ったトランプを手に持っています。このトランプは、本人しか知りません。マジシャンには見せないようにしてもらいます。

紙袋マジシャンは、助手が手に持っているトランプ、約10枚程度あるはずですが、これを左の写真のような紙袋に入れてしまいます。入れる前に、中を観客全員に見えるように広げて見せます。助手の人にも、中を確認してもらい、普通の紙袋であることを納得してもらいます。

十数枚のトランプが入った紙袋を助手に持ってもらい、袋をよく振って、中のトランプを混ぜてもらいます。次に、助手に袋を持ったまま、観客Aのところに近づき、紙袋の中に、Aの人が持っているトランプを袋の中に入れてもらいます。このときも、トランプの表が、マジシャンに見えないように、注意しながら袋の中に入れてもらいます。

トランプが入ったら、助手の人に、紙袋を上下に振ってトランプをよく混ぜてもらいます。これが「カクテル・カード」というタイトルの由来です。

同じことを、B,Cの観客にもします。

今、助手の人が手に持っている紙袋には、3人の観客が取ったトランプと、残りのトランプ、十数枚が混ざっています。この間、マジシャンは何もしていません。助手の人にすべてやってもらいました。

マジシャンは助手から袋を受け取り、紙袋の中に手を入れ、3枚のトランプを抜き出します。まだ表は見せていません。3枚を、観客からは裏が見えるようにして広げて持ちます。もし、この3枚が,A,B,Cの観客のトランプであれば成功です。

Aの人に、さきほど取ってもらったトランプの名前を言ってもらいます。マジシャンは、手に持っている3枚のうち、1枚を表向きにすると、それはまさに、今Aが言ったトランプです。同じように、B,Cのトランプも当たっていることを見せます。

最後に一言

これは実際にやってみると、大変不思議に見えます。昔、某大学の奇術部が、数百名入る大きな会場を借りて発表会を開いたとき、これをやっていました。そのような場所でもできますから、普通の宴会くらいであれば問題ありません。

なお、今回は紙袋を使いましたが、原案では最初に触れましたように、男物の帽子を使います。昔、男性はよく帽子をかぶっていました。その帽子を二つ使うか、帽子一つと、ふたをするために大きなお皿を使って演じていました。最近は男性で帽子をかぶっている人を見かけることはめったにありませんので、帽子を準備するのは面倒です。また、昔は帽子が日常、どこででも見かける品物でしたので、いかにも「即席」という感じでよかったのですが、今では、このマジックのためにそのような帽子を用意すればかえって怪しまれるでしょう。紙袋ですと、どこにでもありますから余計な疑念をもたれることはありません。

なお、どうしても帽子を使いたいのでしたら、東急ハンズやロフトなどで、パーティ・グッズを扱っているコーナーに行くと、仮装用の帽子で、シルクハットのような形をしたものが数百円で販売されていますので、それを使ってもよいでしょう。

お願い

これもタネは今まで同様、メールでお知らせするシステムにします。ただし、「スカーニのトリック」や「3枚のカード」等をすでにご存じの方は、メールを出していただかなくても読めるようにしました。画面の下にある、「すでに申し込んだことのある方」をクリックしてください。

今回が初めての方は、「申込規定」をよく読んでから申し込んでください。

「すでに申し込んだことのある方」


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