コイン・マジックの基本技法

第１回

ドロップ・ヴァニッシュ

2002/3/13

コイン・マジックを学び始めるとき、最初にマスターしたいのはコインを消す技法です。J.B.Boboの"Modern Coin Magic"や高木重朗、二川滋夫両氏による『コインマジック事典』（東京堂出版）にも数多く、コインの消失方法が解説されています。

テクニックだけでおこなうもの、特殊なギミックを使うもの、コイン自体に仕掛けのあるものなど、消失方法だけでも数多くあります。しかし基本は何の仕掛けもない普通のコイン、レギュラーコインをテクニックだけで消す方法です。これだけでも優に数十はありますが、その中でも今回紹介する「ドロップ・ヴァニッシュ(Drop Vanish)」や、次回解説予定の「フレンチ・ドロップ(French Drop)」はコイン・マジックをやってみようと思っている人でしたら、ぜひマスターしていただきたい技法です。

今回、「コイン・マジックの基本技法」を始めるにあたり、コインマジックの分野では日本だけでなく、「ムトベ・パーム」の名前で世界的にもよく知られている六人部慶彦氏の全面協力を得ることが出来ました。六人部氏と私は、彼が中学生の頃からの付き合いですから、もう２０年以上になります。現在、本職は歯科医師としてご活躍であり、マジックは私同様、趣味として楽しんでおられます。しかしその腕はデビッド・ロス、ラリー・ジェニングス、ダロー他、来日した多くの高名なプロマジシャンが六人部氏のコインマジックに最大級の賛辞を贈っています。実技、理論の両面において、現在、世界的に見ても屈指のエクスパートであることはまちがいありません。その六人部氏にご協力願えたことは「魔法都市案内」にとって大変名誉であり、ありがたいことです。あつくお礼申し上げます。

以下の解説用写真は六人部氏にモデルになっていただき、撮影したものを使用しています。ポイントとなる動きはアドバイスしていただいたものをマジェイアが編集しました。

本来、流れが重要であるこのような技法を分解写真にすると速さがわかりません。そのため、六人部氏が演じるときの感じが伝わらないのが残念ですが、数年のうちに光ケーブルがインターネットの主流になり、動く画像が今よりずっと手軽に扱えるようになります。そのときは実際のスピードで見ていただけるようになると思いますので、しばらく分解写真で辛抱してください。しかしイマジネーションを鍛えるという意味では、写真や書籍を通しての学習も悪くありません。試行錯誤を繰り返しているうちに、自分なりの動きが発見出来ることも少なくないからです。

六人部氏は「リテンション・ヴァニッシュ」やオリジナルの「アナザー・リテンション・ヴァニッシュ」「ムトベ・パーム」など、高度な技法を駆使したヴァニッシュもすばらしいのですが、この「ドロップ・ヴァニッシュ」や、次回解説する「フレンチ・ドロップ」でも完璧なイリュージョンを見せてくれます。この機会に、ぜひしっかりマスターしてください。

では「ドロップ・ヴァニッシュ」を練習したい方は、「申込規定」をお読みの上、お申し込みください。

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