指を閉じる
2000/6/27
技法の紹介ではありません。それ以前のことです。マジック、特にクロース・アップ・マジックをする人なら、普段から意識しておいたほうがよいことを紹介します。
クロースアップマジックをする人は、常日頃から指を閉じる習慣をつけておくことが大切です。カード、コイン、ダイス、扱うものは何であっても、またマジックによっては指が開いていても閉じていてもあまり関係のないものがありますが、それでもいつも指が閉じているようにしてください。
指が閉じるというのは、手をテーブルの上などに置く場合、上の写真のように手を軽く握って、指と指の間に隙間ができないようにするという意味です。これはとても大切です。
手に何も持っていなくても、フィンガーパームをしているときでも、まったく同じように見えなければなりません。カードやコインをパーム(手に密かに隠し持つ技法)するとき、指と指の間に隙間があれば、観客にもパームしていることがすぐに気づかれてしまいます。このようなことは、普段から意識しておかないと、できるものではありません。
パームが必要なマジックをするときだけ指をくっつけるのではなく、日常、何気なく手をテーブルの上に置くようなときでも指の間に隙間がないよう、心がけてください。
知人で、ハーフダラーを朝起きたときから寝るまで、一日中パームしたままで生活していた人がいました。フィンガーパームとクラシックパームの位置に移し換える必要はあっても、とにかく一日中コインをパームしたままで生活をすれば、そのうちパームをしていることなど意識すらしなくなるでしょう。パームしたまま、電話や食事、車の運転、仕事で人と会うときもずっとやっていました。一日人と会っていて、誰一人気がつかず、コインも落とさなくなったとき、自信がついたと言っていました。
二ヶ月ほどして、その人の手を見ると、クラシックパームの位置にタコができていました。タコにコインがロックされて、少々のことでは落ちなくなっていましたから、すごいものです。
いえ、何もここまでやれとは言いません。ここまではやらなくてもよいのですが、カードやコインをパームしたまま10分くらいそのままでいることは練習として悪くありません。特にカードをパームする場合、どうしても手が緊張しますから、その緊張が表に現れないくらいまでは馴染む必要があります。初心者の人がパームをすると、観客にすぐばれるのは指の間から見えること以上に、手に緊張があるからです。観客の目は、そのような不自然な部分に向くようになっています。
話が少しそれましたが、今回ここでパームのやり方を解説するのではありません。それ以前のこととして、指が開かないことを意識してほしいのです。何か小物を扱うときや、何も手に持っていないときでも、指と指の間に隙間がないようにしてください。
カードをカットするときやリングを持つとき、指の間が開いていてもそのマジック自体は問題ありませんが、このようなときから意識して、指の間が閉じるようにしていてはじめて、必要なときにも自然に指が閉じるようになります。