Online Lecture
"Fly Away, Jack."
「ジャック、飛びなさい」
1999/3/6
最初に
「オン・ライン・マジック教室」の第3回目です。今回は、今までと違い、やり方もメールではなく、はじめからオープンにしています。そして、見せる相手は小さい子供、具体的には幼稚園から小学校の1,2年生以下くらいの子供が対象です。
これは西洋では大変古くからよく知られているマジックです。家庭で子供が小さい頃、お父さんやお母さんが見せています。日本ではほとんど知られていませんが、アメリカで育った人なら、大抵子供の頃、だれかから見せてもらっています。アメリカの某有名プロマジシャンも、母親からこれを見せてもらい、そのときの驚きがあまりにも強烈であったためマジックに興味を持ち、のちにプロのマジシャンになってしまったそうです。
やり方を読むと、こんなことで、たとえ小さな子供でも引っかかるとは思えないでしょうが、ぜひ一度やってみてください。子供たちは大騒ぎをして喜びます。即席でできる子供向きのマジックとしては、最高傑作と言っても過言ではありません。
現象
食卓などのテーブルに着いているとき見せます。
適当な紙、ティッシュペーパのようなものでも、メモ用紙でも、何かの広告の紙でもかまいません。それを爪に貼り付けられるくらいの大きさに切ります。その人の爪の大きさにもよりますが、1辺が7,8ミリ角程度の四角形に切ります。そのような紙を2枚作り、水か唾をつけ、爪に貼り付けます。裏にノリの付いたシールで、小さな花や動物、何かのキャラクターなどが印刷されているものがありますから、そのようなものでもよいでしょう。あるいはカラーのビニールテープを小さく切ってもできます。
とにかく、このようなものが2枚用意できたら、人差し指の爪に貼り付けます。両手とも同じように貼ります。下にある写真では、「赤い紙」を爪に貼っています。
指先に貼り付けた紙を小鳥に見立てて、次のように説明します。
「二羽の小鳥がいます。一羽の小鳥はジャックという名前です。もう一羽はジルです。ジャックとジルは仲良しで、いつも一緒に遊んでいます。そして、ジャックもジルも人の言葉がわかります」
「ジャック、飛びなさい」
ジャックはどこかに、飛んでいきました。
「ジルも飛びなさい」
2羽とも飛んで行きました。
「ジル、もどっておいで」
ジルが戻ってきました。
「ジャック、もどっておいで」
無事、ジャックもジルももどってきました。
言葉にあわせて、ジャックとジルは指先から飛んで行ったり、戻ってきたりします。
やり方
上の写真を見れば、タネを説明するまでもないと思いますが、人差し指と中指を換えているだけです。
「ジャック、飛びなさい」と言ったとき、左手の人差し指を伸ばしたまま、左耳のあたりまで上げ、またテーブルの縁に戻してくるとき、人差し指を引っ込めて、中指を伸ばします。すると、ジャックが指先から消えてしまったように見えます。指が変わったことを、子供は気がつきません。反対の手でも同じようにやって、今度はジルも飛ばせます。二羽とも飛んでいってしまったら、今度は今と逆のことをやって、指先に戻します。
コメント
これは大変簡単でマジックとも言えないようなものですが、実際に見せるときはしっかり練習してから子供に見せてください。うまく見せると、子供は大喜びすることを保証します。
やり方を知ったら、あまりにも簡単なため、すぐにでもやりたいでしょうが、せめて10分くらいは練習してください。人差し指と中指を換えるとき、決して素早く動かす必要はありません。何度かやってみると、適当な速さがわかってきます。簡単ですが、人差し指と中指を、上に上げながら連続して交換するというような動作は、普段やりませんので、こんな簡単なことでも慣れないと意外なくらいやりにくいものです。しかし、何度かやってみるとすぐに慣れますから、必ず、自分でもスムースにできるようなったと思うくらいまでは練習してください。初心者の人は、このような練習をせずに、すぐに人前でやるので、ばれてしまうのです。千回、指の上げ下ろしをやってから人に見せなさいとは言いませんが、せめて、2,30回くらいは練習してからやってください。
なお、上の写真は知り合いの大学生の女の子にモデルになってもらいました。この写真を撮る前、小さい子供向けのマジックを紹介したいのでモデルになってほしいと頼み、どのようなマジックなのか、最初に見せました。すると、大学生の子がびっくりしているのです。
ジャックとジルが飛んで行ったときは、貼り付けてあった紙が爪からはずれて消えたのだろうと思ったけれど、それがまた戻ってきたので驚いたのだそうです(笑)。そして、種明かしをしたらもっと驚いていました。
「そんな簡単なことにひっかかったの?!」と、自分でも信じられないような顔をしていました(笑)。
私の周りには、よい観客がいてくれます(笑)。 でもこれは決してサービスで驚いてくれたのではなく、本当に驚いていました。小さい子供向きのマジックとして紹介しましたが、実際には若い女の子相手に見せてもこれはウケます。たとえバレてもかまいません。もし途中でわかったらわかったで、あまりのばかばかしさに大笑いなるでしょう。その場が盛り上がれば、それも成功です。