マジックの世界で有名になるには
ダイ・ヴァーノンが若手のマジシャンによく言っていたアドバイスです。 「もしマジックの世界で有名になりたいのなら、何でもいいからひとつだけ、誰にも負けないくらい上手くできるテクニックを身につけること」だそうです。 これは確かに当たっています。たとえば、デビッド・ロスの「シャトル・パス」、コーネリアスの「マッスル・パス」、チャーリ・ミラーの「セカンド・ディール」等々、マニアから、それだけでも見せて欲しいと言われる技法を持っていると、すぐに名前は知られるようになります。 アルバート・ゴッシュマンも、このアドバイスから、「スペルバウンド」を練習しました。 実際、スペルバウンドはゴッシュマンがNo.1だと噂されていた時期がありました。 マイケル・アマーは他の人があまりやっていないもので何かないかと探したら、「トピット」を思いついたそうです。確かに、アマーが売り出してきた頃は、トピットを乱用と言ってよいほど使っていましたね。 この話を「ムトベ・パーム」で有名な六人部慶彦君がまだ中学生であったころ彼にしました。彼はそれを実践して、「ムトベパーム」で世界的に有名になりましたね。ただ、 六人部君の場合は有名になりたいから「ムトベパーム」を発明したのではありません。 意図的であれ、偶然であれ、これからわかるように、オリジナルの技法を開発するか、ひとつの技法を徹底的に練習することは手っ取り早く有名になるにはよい方法です。
オリジナルのタネでもよいのですが、タネは知られたらそれほどありがたがられることもありません。でも難しい技法は、そう簡単には真似できないので好都合なのです。長く使えます。 でもこれは諸刃の剣でもあるということを忘れないでください。 狭いマジックの世界で少しくらい有名になったところでたかが知れています。それでなくても屈折した優越感を得るためにマジックをやっている人が多いのに、こんなもので有名になったら、ますます屈折してきますよ。 そのあたりのことをよく自覚した上で、なお有名になりたいのなら、人が驚くような技法にチャレンジしてください。
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