誰がそれをやったのか

消えたの?消したの?

1998/5/21

一枚のコインを左手に握ります。数秒後、ふたたびゆっくりと手を開くと、コインは消えています。

よくある「消失現象」です。

ところで、このコインは自らの意志で「消えた」のでしょうか、マジシャンが「消した」のでしょうか。

勿論、実際にはコインが勝手に消えることはありません。マジシャンがテクニックなり、ネタを使って消したのですが、マジシャン自身はどう思っているのでしょう。演じる側が、この部分を意識しておかないと、見ている観客には現象が中途半端になってしまいます。

何かが消える場合、普通はマジシャンが消したという表現を取ることが多いはずです。しかし、マジシャン自身は消すつもりはなかったのに、気がついたらコインが消えていて、そのことをマジシャン自身も驚くという見せ方もよく使われます。石田天海師やフレッド・カップスもこのような見せ方を好んで用いていました。

「ゾンビボール」という、直径10センチほどの金属の球が空中を浮かぶマジックがあります。これも、ボール自体が自分の意志で浮かんでいるのか、マジシャンがボールを浮かせているのか、はっきり自覚しておくことが重要です。

ほとんどのマジックに適応できることとして、何か不思議な現象が起きたとき、その現象はマジシャンが起こしているのか、マジシャンの意志ではなく勝手に起きているのか、どちらなのかを前もって考えておくことは大切です。少なくとも、この部分をはっりさせておかないと、演出を組み立てる上でも、焦点が定まりません。

消失だけでなく、「出現」、「変化」でも同じことです。勝手に何かが現れたのか、マジシャンが出現させたのかをはっきり自覚しておくことです。

マジックを練習しているときから、この辺りも意識しながら練習すると、観客にとってもわかりやすい現象になります。

魔法都市の住人 マジェイア


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