Banana Trick
最初にダン・ギャレット(Dan Garrett)が演じて有名になった「バナナ・トリック」です。
先日、神戸のポートアイランドに行ったとき、ゲームセンターにUFOキャッチャーがありました。クレーンのようなもので、ぬいぐるみなどの景品を取るゲームです。景品にはアニメのキャラクターが大半を占めているようですが、中に一台、ケースの中に入っている景品がすべてバナナという機械がありました。何でバナナなのかわかりませんが、猿の絵がありましたので、この猿がテレビゲームか何かのキャラクターなのでしょうか。
見本のバナナがケースの外にあり、触ってみると、柔らかく、何とも言えない心地よい感触です。最近流行っている癒し系グッズに使われているような素材です。
このバナナは適度な柔らかさがあるため、マジックにも使えそうです。できれば数本欲しかったのですが、UFOキャッチャーをやったのは過去に2、3回あるだけで、とても取れる自信はありません。店員に2、3本売ってくれないかと頼もうかと思いましたが、多分断られると思い、それもやめました。
このバナナでダン・ギャレットの手順を行うことは無理です。しかしが数本あれば「バナナ・トリック」の最後に、クライマックスとして使えそうな気がしました。と言っても具体的に何かアイディアを思いついたわけではありません。あれば何か思いつくかも知れないと思っただけです。ということで、UFOキャッチャーのバナナはいまだにゲットできていません。しかしダン・ギャレットの手順はそのまま演じても十分観客にうけますので、あまり気にしないでください。
現象
観客によって演出は適当に変えることができますが、ダン・ギャレットのビデオ、"Kidshow Konnivery"では幼稚園のようなところで演じていますので、子供向きの演出になっています。
まず助手として小さい子供に一人出て来てもらいます。その子にカゴか、帽子を逆さまにしたものを頭の上に乗せて、持ってもらいます。
マジシャンは左手にバナナを1本持っています。このバナナを右手に持ちかえると、また左手には新しいバナナが1本出現しています。出てきたバナナをカゴの中に捨てても捨てても、また左手からバナナが出てきます。際限がないほど、バナナが出現し続けます。
カゴの中にはバナナがだいぶたまったと思い、助手に持ってもらっていたカゴの中を見ると、バナナはすべて消えています。子供が食べてしまったのでしょうか。
最後に、2本に残ったバナナを子供に持ってもらい、しばらくしてから手を開けてもらうと、小さいベイビーバナナが4本出現しています。
助手がいなくても、テーブルの上に適当な空箱を置いて、それを即席の「捨てかご」として演じることもできます。
コメント
家では何度も演じているため、このスポンジでできたバナナはテーブルの上や本棚にいつも転がっています。今回、写真を撮るために家人に手伝ってもらいましたら、不思議なことを言っていました。
「毎回あれだけたくさんバナナが出ているのに、何で家にはいつも2本しかないの?」
マジシャンを喜ばせるツボを知っているのか、それとも本当に大量に出ていると思っているのか、何ともうまいことおだてるものです。
確かめてみると、毎回本当にバナナが10本近く出ていると思っていたようです(汗)。
このマジックで使うプロダクションの原理自体は昔からありました。ダン・ギャレットはそれをバナナで演じただけなのですが、素材を変えただけで観客に与える印象は随分変わります。このスポンジのバナナはクロースアップで演じるのであれば、最初からスポンジのバナナとして扱っても問題ありません。しかし少し離れたところから見ると、本物のバナナのように見えますので、そうなると一層不思議さが増すかも知れません。
どちらで演じても、現象がはっきりしているためよく見えます。難しい技法は何も使っていませんので、一度マスターしておくと重宝すると思います。
参考
ビデオ:Dan Garrett /Kidshow Konnivery (1993年)
魔法都市の住人 マジェイア