The Signed Card to The Box
最初にこれもPCAM東京大会のときカップスから見せてもらいました。適当な大きさの箱があれば簡単に作ることができます。
現象
蓋のついた小さな箱とトランプを一組取り出します。箱は観客の前に置いておきます。
トランプを表向きでテーブルの上に広げ、1枚選んでもらいます。(ハートの5とします) そのトランプの表にサインをしてもらいます。サインが終わったら、それを一組の中にもどします。
最初から観客の前に置いてあった小さな箱を開けると、4つに折りたたんだトランプが入っています。
(上の写真) それは予言のトランプです。箱から取り出し、広げるとハートの5です。しかも、観客のサインまでついています。コメント
実際は「予言」と言うより、「移動」現象です。
前もってテーブルの上に最初から置いてあったものに、サインをしてもらったトランプが移動するという現象は珍しくありません。今回のは「小箱」ですが、「小銭入れ」、「札入れ」、「トランプの箱」などがよく使われます。
カップスが演じていたのは上の写真のような小さな紙の箱です。これは簡単に作れるネタですが、昨年(1996年)、ジョン・ケネディが「ミステリー・ボックス」という商品名で同じような現象の箱を売り出しました。箱は木でできており、きれいな作りです。最大のセールス・ポイントは、終わった後で観客に箱を調べてもらうことができる点です。これはこれでよくできたネタですので、買っても損はありません。
最後に一言
このマジックに限らないのですが、どうも私はトランプを折り曲げてしまったり、破ったり、サインをしてもらうマジックには抵抗があります。私自身はトランプなんて家に腐るほどありますから、全然惜しくありません。また抵抗もないのですが、一般の人にとってはトランプというのは決して消耗品ではありません。そのようなものを目の前で破ったり、サインをしてもらうことは、その後、普通のトランプとして使えなくなるので、1組のトランプが無駄になると感じさせてしまうことに抵抗があります。つまり、観客に余計なストレスを感じさせることに、こちらが気を使ってしまうのです。
実際、トランプを破ったりする行為はあまり行儀のよいものとは言えません。特に年輩の方の中には、「そんなもったいないことを...」とおっしゃる方も少なくありません。そのため、年輩の方がいらっしゃる席では、まずこのような種類のマジックは見せません。無理にやらなくても、他に適当なものがいくらでもあります。
「破ったトランプの復活」現象(torn and restored card)でも、最後はアイロンをかけて、完全に復元させるところまで演じる見せ方があります。デビッド・ウィリアムソンや前田知洋氏が好んで演じておられる方法です。どうせやるなら、ここまで完全に復活させた方が良いような気がします。
魔法都市の住人 マジェイア