My Favorite Tricks

 


Chink-A-Chink

Dice

1999/8/23


最初に

"Chink-A-Chink"(チンカチンク)というのは、ガラスのような硬いものがぶつかったときの擬音語です。「カチン、カチン」といった音のことです。

現象

テーブルの上に角砂糖を4個、1辺が30センチくらいの正方形になるように置きます。

右手を広げて、右下隅の角砂糖をカバーします。左手は、左上にある角砂糖をカバーします。

両手を軽くふるわせながら、「チンカチンク」と言って手を取り除くと、左手の下にあった角砂糖が消えて、右手の下から現れます。このような動作を繰り返していると、一カ所に4個の角砂糖が集まります。

このうちの3個を左手に握り、1個を右手で持って、ポケットに入れます。ところが、左手を開けると、また4個に戻っています。これをあと2回繰り返します。

最後は、ポケットから数個の角砂糖を取り出し、「これをやっていると、角砂糖がたまってしまいます」と言いながら、テーブルの上に3,4個の余分な角砂糖を取り出して終わります。

一言

元々は、マックス・マリニ(1873-1942)が有名にしたトリックです。パーティなどでテーブルに座っているとき、誰かからマジックを見せて欲しいとリクエストされると、これをよくやっていました。モハメッド・ベイ(本名、サム・ホロウィッツ、1894-1971)がマリニの演技を見たとき大変感激して、その後、自分なりのルーティンを組み立てました。

後年、ホロウィッツがマリニに自分の考えたルーティンを見せたところ、マリニもそれを気に入り、自分が現役でやっている間は、そのルーティンを公開しないように頼んだくらいです。ホロウィッツもそれを守り、マリニが亡くなるまで、誰にも公開することなく秘密にしていました。

マリニの死後、「スターズ・オブ・マジック」の一つとしてこの解説書が売り出されてはじめて、一般に知られるようになりました。

今ではクラシックと言ってよいほどよく知られたものになっています。原案は角砂糖を使用しますが、サイコロや、瓶のキャップでもできます。角砂糖のよさは、昔は喫茶店などには四角い角砂糖が常時ありましたから、それを取り出して演じると、いかにも即席マジックという印象が強く、一層不思議に見えたのでしょう。特にマリニがこれを演じるとき、手は完全にあらため、テーブルの上に正方形に置いた時点では、手には一切余分な角砂糖など隠していないことを見せてからやっていましたから、本当の魔法のように見えたのでしょう。実際は、テーブルの上にあるナプキンをちょっとずらせる動作のうちにスティールしてくるのですが、このようなミスディレクションのうまさが決定的な差になってきます。

似たような現象では、コインとカードを使って演じる、「マトリックス・コイン」(コイン・アセンブリー)のほうが今では有名になってしまいましたが、コインよりもかさのある角砂糖やダイスでうまく演じると、より一層不思議に見えます。

私も昔、角砂糖を常時数個、小さな箱に入れて持ち歩いていました。しかし、本物の角砂糖は、何度か使っているうちに角が崩れてきます。それを防止するため、透明なセメダインを角砂糖に塗って乾かしたものを使っていました。こうすると、見た目は普通の角砂糖と変わりませんが、崩れることもなく、パームもしやすくなり、長い間使えました。1回作ると、10年くらい使えました。

最近は、上の写真のような、ガラス製の古いダイスを使っています。

アウトライン

ホロウィッツの集め方のアウトラインです。下のように4個を置いた後、右手と左手のカバーの順番だけを忘れたときのチェック用に書いておきます。A,Bが術者側です。(Rは右手、Lは左手)

D   C

 

B   A

1.RをA、LをD
2.LをB、RをA
3.Cを右手で取り上げ、CとDの位置の中央あたりに移す。それをRで、BをLでカバー。
4.C(中央)をL、AをR
5.RをC、LをB

補足:両手が決して交差しないところが、このルーティンの優れている点です。

 

魔法都市の住人 マジェイア

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