My Favorite Tricks

Fred Kaps 特集10

The Coin Box

coin box
1997/12/7

最初に

「オキトのコインボックス」(The Okito Coin Box)を使ったフレッド・カップスのハンドリングです。

「コインボックス」というのは、マジックを始めたばかりの人が、初級から中級にさしかかった頃、一度は経験するマジックです。ごく一般的な現象は、上の写真のような真鍮製のコインのケースにハーフダラーを一枚入れます。グラスの上にトランプを一枚おいて、トランプにコインの入ったコインボックスを置きます。上から軽くたたくと、コインがボックスとトランプを貫通して、グラスの中に落ちるというものです。

決して悪いマジックではないのですが、地味なので、プロでこれをレパートリーにしている人はほとんどいません。しかし、カップスの手に掛かると、このようなものでも見違えるような鮮やかマジックになります。

現象

マジシャンは蓋のある真鍮製の小さな入れ物(Coin Box)を取り出します。蓋を開け、中から4枚のハーフダラーをテーブルの上に取り出します。観客に、ボックスや蓋、コインを調べてもらいます。

<第1段>

4枚のコインをボックスに入れ、蓋をします。それをマジシャンの左手の甲に乗せ、上から右手の人差し指で軽くたたくと、ボックスと手を貫通してコインが一枚落ちてきます。続いてたたくと、すべてのコインが1枚ずつ手を貫通します。

<第2段>

マジシャンは透視能力もあることを示すため、観客に1枚のコインをボックスに入れて、蓋をしてもらいます。マジシャンは、コインの表裏、どちらが上になっているのかを、蓋を取らずに当ててせると宣言します。観客がコインを入れようとすると、4枚ともどういうわけかボックスに入りません。少しボックスが小さいのです。どのコインも観客には入れられません。

<第3段>

マジシャンがコインをボックスに入れると、簡単に入ってしまいます。
4枚とも入れたら、蓋をせずにマジシャンの手の甲にボックスを乗せます。
右手でたたくと、4枚一度に、手を貫通してコインがテーブルに落ち、ボックスの中は空です。

<第4段>

今度は観客の手で、今と同じことをやってみます。ボックスに4枚のコインを入れて、観客の手の甲にボックスを置きます。(蓋はありません) 上から軽く押さえると、コインではなく、ボックスだけが観客の手の甲を貫通して下に落ちてきます。手の甲にはコインが4枚残っています。
マジシャンは4枚のコインをボックスに入れて、終わります。

コメント

「オキトのコインボックス」というのはマニアにはお馴染みの道具でしょう。これはセオ・バンバーグ(Theo Bamberg:ステージネーム Okito)が1909年に発表してから、今ではマジックの道具として、すっかり定着しました。

オキトが作ったものは写真のようなもので、ハーフダラーが4枚入るタイプのものが一般的です。

これに後年、ミルトン・コート(Milton Kort)がオプションのコインボックス2つ付けたものを「オコルト コインボックス」(O-Korto Coin Box)として売り出しました。
このセットは、レギュラーの「オキトコインボックス」「ボストンボックス(Boston Box)」、それに外見はレギュラーと同じですが、少し内径が小さいものがセットになっています。

このセットは、J.B.BoboNEW MODERN COIN MAGICにも紹介されています。Milton Kort, Walter Wilson, Ron Bauer, Ed Marlo などの手順が載っています。

普通はこのタイプのものは上記の3つのボックスを使うのですが、カップスは2つだけで行っています。しかも、座っても出来ますし、立ったままでも可能です。
また観客は何度もコインボックスやコインを手にとって調べています。この辺りのハンドリングは、さすがにカップスならではです。簡単ではありませんが、と言って、実演できないほど難しいことをやっているわけでもありません。

最後に一言

コインボックスをビデオで覚えたいのなら、デビッド・ロスのビデオがお奨めです。A-1 Multimediaから出ています。 "Expert Coin Magic Made Easy! " Volume 11 で、コインボックスの手順や基本技法を数多く解説しています。

なお、今回紹介したカップスの手順は、Jeff Busbyが1984年に出した、ARCANEのIssue Number Eleven($7.50)で紹介されています。

魔法都市の住人 マジェイア

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