My Favorite Tricks

The Diminishing Cards
小さくなるトランプ

diminishing cards

1998/1/19

最初に

古典マジックの傑作です。昔は縁日などで手品の道具を売っている店が出ていると、大抵、この「小さくなるトランプ」をやっていたそうです。私自身は大阪の難波にある高島屋のマジックコーナで小学生の頃見せてもらい、とても不思議でした。

このネタ自体は今でもテンヨーでも販売していますが、ディーラーの人が実演しているのは見たことがありません。しかし、うまく演じればとても不思議で、本物の魔法を見ているような気にさせてくれます。

「小さくなるトランプ」は外国でも何種類も販売されています。ところが奇妙なことに、日本で最も一般的に知られているネタは、今まで外国の製品で見たことがありません。外国製のものは、私が今もっているものだけでも、6,7種類ありますが、原理そのものがすべて違います。日本に昔からあるタイプのものが一番シンプルかもしれません。しかし、うまく演じればこれが最も鮮やかで不思議に見えます。

現象

日本に昔からある、最も一般的なものは次のような現象です。

マジシャンは手に、普通の大きさのトランプを持っています。それに魔法の粉をふりかけ、手で揉んでいるとトランプが段々と小さくなって行きます。それを何度か繰り返していると、徐々に小さくなって行きます。親指の先程度まで小さくなり、最後は目に見えないくらい小さくなり、完全に消えてしまいます。

最後に一言

昔、私の父も若い頃、縁日でこれを買ったけれど、できなかったと言っていました。

今から数十年前のマジックの解説書はひどいものでした。読んでわかるような代物ではなかったのです。「ここですり替える」と書いてあっても、どうやってすり替えるのか、肝心の説明がないのですから、できるはずがありません。買った人も、手品というのはそんなもので、それほど簡単にはできないのだろうと諦めていました。

現在、日本では「テンヨー」や「富士奇術」から、昔からあるネタを使ったものが販売されています。テンヨーの解説書は大変よくできていますが、それでも一般の方がこれを買って帰って、すぐにできるほど簡単ではありません。実際はそれほど難しくないのですが、ある程度、ミスディレクションやパームの基本がマスターできていないと演じるのは無理です。

デパートなどで、もし初心者の人にこれを売ると、これを買った人は、あまりにも難しいので、二度と手品の道具を買いに来なくなる恐れがあるから売りたくないのかも知れません。もっとやさしくできるマジックはいくらでもあるのに、わざわざこのようなものを売る必要もないのでしょう。

値段も800円前後で、もっとも安いネタのひとつですが、うまく演じれば数万円のマジックに匹敵するほど素晴らしいマジックです。

初心者がこれをやらないのはわかるのですが、マニアでもこれをやっている人をほとんど見かけません。大抵のマニアの人の場合、マジックを始めたばかりの頃に購入し、その当時、うまくできなかったのでそのままになっているのでしょう。簡単なマジックではありませんが、マニアができないほど難しくありません。レパートリーにいれておいて、絶対に損のないマジックです。

トランプを使うマジックで、ビジュアルという意味では「ライジングカード」「天井にくっつくカード」などと並んで、もっとも視覚的にはっきりしたマジックです。

カードマジックの名手、チャーリー・ミラーは、プロになってからは、ごく一部のカードマジックを除いて、大半のカードマジックは捨ててしまいました。この「小さくなるトランプ」は、彼が例外的に残している、ごくく少数の中に入っています。 もし、あなたがこれを見過ごしているのなら、ぜひ、マスターしてください。

なお、テンヨーが現在発売しているものはネタの部分が昔からあるものとは一部異なっています。原理は同じなのですが、昔からの方法になれていると、このネタがどうも邪魔なのです。一からはじめるのであれば、これでもほとんど同じようにできるでしょう。

魔法都市の住人 マジェイア

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