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The Dingle's Deceptions

The Dingle's Deceptions

書 名:Dingle's Deceptions
著 者:Harry Lorayne
初 版:1971年
発売元:Haines House of Cards
ページ数:57ページ
価 格:現在でも10ドル程度で入手可能のはず
分 類:Close Up Magic


最初に

ディレック・ディングルは1970年代のはじめに出てきました。この本は、当時既にマジック界の大御所的存在であったハリー・ロレインが書いています。ロレインにしても、ディングルにマジックを見せられ、大変ショックを受けたので、彼のマジックを紹介したくなったのでしょう。

このころからダブルクライマックス、つまりあるマジックを見せて、終わったと思ったときさらにもう一つおまけのクライマックスを付けるのが流行りかけていました。特にマニアにとっては、ダメ押しの現象を見せられ、「まいった!」という感じになり、絶大な受け方をしました。この本がそのような流行を作ったと言ってもよいかも知れません。


内容を紹介しましょう

1.Color Triumpaht

現象自体はヴァーノンのトライアンフと同じです。デックの半分を表向き、残りを裏向きにして混ぜても、観客のカードをのぞいて、他のカードは全部向きがそろうというものです。

最後は観客のカード以外、すべて裏模様が変わってしまうというおまけ付きです。

2.Open Sesame

バラバラに4Acesをデックに差し込み、それを様々方法で取り出します。アクロバティックなこともやりますので、派手で、オープニングなどに良いかも知れません。

3.The DD Color Changing Aces

現象は第2章のOpen Sesameと同じような感じですが、取り出した4Acesのバックの色が変化します。

4.Through & Though

スペードのエース、2,3,4がマットを貫通して、一カ所に集まります。
このタイプではヴァーノンの『クィーンの夜会』やゴッシュマンの"Card Thru Newspaper"が有名です。それぞれに捨てがたい味があり、どれも傑作です。 このディングルの手順はカードを覆う紙が一枚あればできますから、私もよくやりました。 カードアセンブリーの現象では、一番実演回数が多いと思います。

5. The International Coin Trick

コインマジックの中でも、コインが一枚ずつテーブルを貫通する「コインスルーザテーブル」はひとつのジャンルになっています。 多くのマジシャンが数え切れないほどたくさんの手順を発表しています。

この「スルーザテーブル」の現象は、割と地味で、マニアが喜ぶほど一般ウケするマジックではありません。しかし、例外的に受けるのが、ヴァーノンの「カンガルーコイン」です。

これはグラスを使い、テーブルの下で貫通してくるコインをグラスで受けとめるので、大きな音がして、いかにも貫通したという雰囲気が伝わってきます。
ディングルの「インターナショナルコイントリック」は、グラスを使うことと、さらに4種類のコインを使うことで、マニアが喜びそうなプロットになっています。
見ている観客からすれば同じ種類のコインであろうと、違うものであろうと関係ないのですが、マニアにすれば、ハンピンチェンが使えないのに、どうするのだろうと、妙なところで興味を引かれてしまいます。私も昔はマジシャン相手のコンベンション等で何度かやりました。
今となっては懐かしいトリックです。

6. Four Coins in the Countin'

4枚のクオーター(25セント硬貨)と、2枚のカードを使って演じるコインアセンブリーです。
ディングルのマジックの中で、私が一番実演回数の多いのがこれです。現象は普通のアセンブリー現象です。4枚のコインが一カ所に集まるタイプのものですが、やっていて適当に難しい部分もあり、演技者も自己満足にひたれます。(^_^)
ここで解説されている「フレンチドロップ」の解説はすぐれており、本当にちょっとしたアドバイスですが、今でも実践しています。

7. Bonus

上記の最後に、カードの下から大きなコイン(1ドル銀貨)を取り出す、おまけのルーティンです。これは多くのマジシャンに影響を与えたようで、ほとんどのマジシャンがコインアセンブリーの最後に、大きなコインを出現させるという終わり方をしています。


最後に一言

私自身にとって、この本は様々な意味できっかけになりました。洋書を読み出して間もない頃、この本はまだマニアの間でもほとんど知られておらず、一部の洋書に詳しい方々の間で、ディングルは面白そうだよという評価が高まってきていました。この薄い本の中に紹介されているいくつかのトリックをマスターして、大阪奇術愛好会や神戸で松田さんや三田さんが中心になってなさっていた会で見ていただいたときが、私のマニアとしてのスタートかも知れません。

魔法都市の住人 マジェイア

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