Fred Kaps' Currency
1997/12/30
最初にフレッド・カップスの大変有名な「11枚のおさつ」です。
1976年、東京で開催されたPCAM東京大会で、彼がこれをやっているのを見てから、いつかきちんとした解説を読みたいと思っていました。それが1994年に発売されました。
(Stevens Magic Emporiumで購入できます。$21.00)古くからのマニアであればよくご存じだと思いますが、これはいかにもフレッド・カップスらしいトリックです。
不思議でありながら客に対してまったく挑戦的ではなく、上品なユーモアを感じさせるすばらしいトリックです。現象
客に11枚のお札を数えてもらい、術者の手の上に乗せてもらいます。
マジシャンが確認のため、数え直すと、何度やっても10枚であったり、13枚になったりして、どうしても11枚になりません。観客の意表をつくような展開で進んでいきます。コメント
現象自体はこのようなものですから、割と淡々としたものです。しかし、大変よく構成されており、見ている側からすると、ここでまたお札が減るのだろうと思っていると、突然増えたり、最後もマジシャンがまったく手を触れられない状態で、一度に5枚のお札をつけ加えてもらうのに、客が数えるとやっぱり10枚しかありません。これはちょっとしたクライマックスになっています。実際、私も初めて見たときは驚きました。
カップスの演じるマジックの大半は、術者の意志に反して不思議な現象が勝手に起こり、それにマジシャン自身もとまどっているという見せ方をします。
人には好みがありますから、誰からも受け入れられる演技などありませんが、しかし、このような見せ方は、客も安心して笑うことができるので、とてもリラックスして見ることが出来ます。
カップスの場合、マジックなどせずに、普通に雑談をしているときでも十分魅力的な人ですからあのような雰囲気が出せるのでしょう。
このマジックは技術的にはほとんど難しいところはありません。フォールスカウントだけです。ただ、これは二人の観客に出てきてもらい、手伝ってもらいますので、その部分をどうするかが問題でしょう。
客からお札を受け取ったり、相手に渡したりする部分が一人ではどうにも練習しにくいのです。それを除けば、フォールスカウントと手順だけです。このマジックほど、自分自身のキャラクターがストレートに出てしまうものもちょっとありません。そのため、誰にでも合うというマジックではないかも知れませんが、もしこのタイプの演出に興味があるのならチャレンジしてみてください。、
魔法都市の住人 マジェイア