Fred Kaps' Wallet
1997/12/30
最初に「財布に通うカード」(Card to the wallet)のひとつです。
現象は限られているのに、ディーラーズアイテムとして魅力があるようで、毎年のように新製品が発売されています。今では、カードマジックのなかで、ひとつのジャンルが形成できるほど数多くあります。
現象
基本的な現象は、トランプを一枚引いてもらい、そのカードの表にサインをしてもらいます。それを一組の中に戻し、よく切り混ぜてしまいますが、一組のトランプの中から消えて、マジシャンの財布から出現します。
コメント
このタイプのマジックでは、何と言ってもル・ポールの「封筒に通うカード」("Card in a Sealed Envelop")が最も有名でしょう。 財布から完全に密封された封筒を取り出し、封筒を破ると、観客が今サインをしたばかりのトランプが出てくるのですからそれは不思議です。
「カップスの財布」は、封筒を使いません。財布を上着の内ポケットから取りだし、財布のジッパーの部分を開けると、中から観客のサインしたトランプが出てきます。これの便利なところは、封筒を使わないため、繰り返しの演技に強いところです。リセットは一瞬にできます。一晩に何度も演じるテーブルホッピングやバーマジシャンなどには重宝でしょう。
「カップスの財布」を使うのでしたら、お奨めのビデオがあります。カップスがやっているわけではありませんが、重要なシークレットが解説されています。それは、N.Y.のタネンから出ています"Stars Of Magic Video"シリーズの一本であるエリック・デキャンプス(Eric DeCamps)のビデオです。($29.50)
何が優れているかと言いますと、「財布にカードをロードして、上着から取り出す」動作が一瞬に終わるのです。ビデオで初めて見たとき驚きました。全然止まらず、まったく違う構造の財布を使っているのか、ネタそのものが違うのかと思ったくらいです。実際はカップスの財布とまったく同じものを使っています。このテクニックは、これをレパートリーにしているプロの間では長い間秘密にされていたものだそうです。実際、私もこれまでに財布のマジックを数十は見てきましたが、どこでも解説されていません。このビデオで初めて一般に公開されたようです。言われてみればどうってこともないことですが、ほんとうに一瞬にロードが終わり、財布を取り出せます。
最後に一言
「財布に通うカード」で、パームを使わないものに「ムリカワレット」があります。 トム・ムリカ考案のものですが、ユージン・バーガーが演じているビデオがあります。これも大変すばらしいものです。
魔法都市の住人 マジェイア