ルポールの財布
最初に観客にサインをしてもらったトランプが一組のトランプの中から消えて、マジシャンの財布から出てくるタイプのマジックは数多くあります。"Card to the Wallet"と呼ばれる種類のものです。このタイプの中で、最も不思議に見えるのがポール・ルポール(Paul Le Paul)が得意としていた、『封筒から出てくるトランプ』(Cards in a Sealed Envelope)でしょう。原案は、"Card Magic of Le Paul"に解説されています。
現象
一組のトランプから4枚のエースを抜き出し、すべてのエースの表に、観客にサインをしてもらいます。このエースを裏向きにして、表向きの一組のトランプの中に差し込みます。テーブルの上に広げると、観客からも4枚の裏向きのトランプが見えています。
マジシャンは上着の内ポケットから自分の財布を取り出し、財布を開くとジッパーがついています。ジッパーを開けて、そこから完全に糊付けされた封筒を取り出します。観客に、糊は完全に乾いており、密封されていることを確認してもらいます。封筒の封を切って、中を見てもらうと、封筒の中に4枚のトランプが入っています。それを取り出してもらうと、先ほど観客自身がサインをしたはずの4枚のエースが現れます。テーブルの上に見えている裏向きの4枚を表向きにすると、まっったく違うトランプに変わっています。
最後に一言
観客にサインをしてもらったトランプが財布から出てくるのは、「フレッド・カップスの財布」や、「トム・マリカの財布」など、有名なものだけでも数点あり、それ以外にも数多くあります。このタイプのマジックはあきれるほど数多く発表されていますが、ルポールが得意にしていたこれが、今でも不思議さではベストです。
演じるたびに封筒を一枚消耗しますが、それくらいなんでもありません。私自身、20年ほど前、某所でバイトを頼まれたとき、10日間ほどの間に、5,60回、このマジックを演じました。観客はすべて一般の人です。様々なマジックを見せた中で、これを見せたときの観客の反応は明らかに違っていました。とにかく驚きようが他のマジックとは違っていました。原案者のルポール自身、このトリックは自分のオリジナルのなかでもベストだと言っています。
今年の初め(98年1月)、テンヨーが代表的な財布、「ルポール」「カップス」「ヒンバー」を3つ同時に発売しました。値段はすべて12,000円です。それぞれによさがありますが、不思議さで選ぶのであれば、これをお薦めします。
魔法都市の住人 マジェイア