うそ発見器
Lie Detector
1999/5/21
最初に
これはマジックにもなりますが、不思議さよりも、とにかくウケます。観客が5,6人以上いるところで、男女がまざっているような場所でやれば、この後、マジックができないくらい盛り上がります。100人以上いるようなパーティでも、出席者がマジシャンのほうに注目してくれるのであれば、十分実演可能です。
現象
テーブルの上に小さな機械を置きます。たばこの箱程度の大きさです。コンパクトですが「うそ発見器」です。警察で使っているものは古いので、体に色々な線を張り付けて、血圧、心拍数、発汗などを調べなくてはなりませんが、これは最新式のものですので、そのような必要はありません。
人はウソをつくとき、微妙に緊張します。その緊張が生理現象として血圧や発汗などとなって出てくるのですが、喉も緊張します。そのため、正常なときと、緊張しているときでは声が変わったりすることは、日常的にも経験して知っているはずです。
警察でも実際にやることですが、ある事件に関係したことを質問する前に、この機械の精度をチェックするのに、被験者に対して、5,6枚のトランプから1枚取ってもらい、それを当てることをやってみせます。
具体的には、6枚のトランプを切りまぜ、裏向きで1枚取ってもらい、覚えたら返してもらってから、よく切りまぜます。6枚のとランプを表向きにテーブルの上に並べて、端から順に、「これはあなたの覚えたトランプですか」と質問して行きます。被験者には、すべての質問に対して、「いいえ」と答えてもらいます。つまり、どこかで1回ウソをつくことになります。
被験者は平静をよそおっていても、ウソをつくとき緊張するため、それが生理現象の変化となり、機械に表示されます。変化の様子を観察していると、どの質問でウソをついたのかわかります。それで先ほど覚えたトランプが当たるという仕組みになっています。
警察の取り調べでも被験者に対して実際にこのようなことをして、この機械はすごいということを暗に知らせたうえで、実際の質問に入って行きますが、マジックでこれを使うときは逆になります。トランプを当てることが、最後になります。
同じように5,6枚の中からトランプを1枚取ってもらい、先ほどと同じように、テーブルの上に表向きに置きます。
このマジックのおもしろさは、観客とのやり取りにあり、それがすべてです。本当はそれを詳細に紹介したいのですが、おそらくそのせりふは、これを販売している根本毅氏のオリジナルだと思いますので、ここでは紹介できません。
ざっと説明しておきます。トランプを当てる前に、本当のことを言っているのかウソをついているのかを機械に学習させるために、簡単な質問をします。この機械は、被験者が正直に答えた場合は何の反応もしませんが、ウソをついたら、直ちに「ピーピーピー」という大きな音がします。それで正直に答えているのか、ウソをついているのか、瞬時にわかります。
たとえば、今、トランプを覚えてもらった人が女性とします。テストを兼ねて、最初に2,3、簡単な質問をしますがすべての質問に対して、「いいえ」と言ってもらいます。
「あなたは男性ですか?」「いいえ」
鳴りません。「あなたはインド人ですか?」「いいえ」
静かなままです。「あなたは女性ですか?」「いいえ」
「ピーピーピー」どうやら、機械は正常に動いているようです。このあたりから、徐々に微妙な質問をして行きます。ちょっとエッチな質問や、新婚のカップルや彼と一緒に来ているカップルだと、彼氏が驚くようなところで「ピーピーピー」と鳴らすと、会場はバカウケになります。
このあたりの質問は、あまりどぎつくなく、半分は冗談だとわかるくらいの演出で行うと、やられているほうも気分を害することはありません。
添付されている解説書をよく読んで、自分で状況にあった質問を前もって作っておくことが、このマジックが成功するかどうかの鍵です。
最後はトランプを当てて終わりますが、実際にはトランプを当てることなどどうでもよく、途中の質問と、ウソをついているときに鳴ると思われている「ピーピー」という音で笑わせる、一種のギャグネタです。
コメント
これは言うまでもないと思いますが、本当は「うそ発見器」でも何でもありません。ちょっとしたメカで動いている機械にすぎません。今回、これを紹介しましたが、これを紹介して欲しくなかったと思っているマジシャンが大勢いるかも知れません(笑)。マジシャンがいるところでは絶対にやらない人や、これを密かにトリネタにしているマジシャンもいます。それくらいウケるネタなのです。
ただし、これだけ優秀なネタでも、事前に作っておく台本が詰まらなかったり、あまりにもくどすぎると効果はありません。技術は一切不要ですが、台本をつくるセンスは必要です。最初は解説書に書いてあるとおりにやっても予想外にウケますから、それで何度かやってみて、徐々に自分なりの台本を作って行けばよいでしょう。
昔、これをまったくマジックをやったことのない人のために教えたことがあります。法曹関係のタマゴの女性でしたが、観客も全部法曹関係者(弁護士、検察官、裁判官、司法修習生)とその家族が集まっているパーティでした。内輪ウケしそうな質問を考えておき、いつも被疑者を取り調べている恐ろしそうな検察官の家族に出て来もらい、オヤジの実体を暴くという演出でやったら、バカウケだったそうです。
ゲストのプロマジシャンが演じる「鳩出し」より、今まで一度もマジックをやったことのないシロウトの女の子が演じるこのマジックのほうが数倍うけるということもめずらしくありません。このあたりが演出の妙であり、マジックという芸のおもしろいところです。
補足
商品は、大阪の「ミスター・マジシャン」で売っています。確か、8,000円だと思いますが、購入する方は、電話で確認してください。
ミスターマジシャンの電話:06−6241−9090
魔法都市の住人 マジェイア