最初にマジックの技法で「パドルムーブ」"Paddle Move"と呼ばれているものがあります。この名前の由来は、カヌーなどを漕ぐときに使う「パドル」から来ています。「櫂(かい)」のことです。上の写真のようなものが、「パドルムーブ」で使われている一般的な形です。 これを使って「ある秘密の動作」を行います。今では必ずしもパドルのような形をしていなくても、同じ目的のために使う場合、すべて「パドルムーブ」と呼んでいます。
現象
パドルの中央に3つの黒点があり、黒点の真ん中にはそれぞれ小さな穴が開いています。爪楊枝がちょうど刺さる位の大きさです。最初、爪楊枝を一番手前に刺します。裏表とも同じ状態です。パドルを軽く振ると、手前に刺さっていた爪楊枝が中央の黒点のところへ飛び移ります。さらに振ると、一番向こうの黒点に移動します。
爪楊枝を抜いて、爪楊枝もパドルも観客に手渡して調べてもらっても、何もあやしいところはありません。なお、この写真のパドルは、さらにちょっとした仕掛けがあり、観客が爪楊枝をパドルに刺そうとすると、パドルにあいていたはずの小さな穴が消えています。
穴がなくなるのはおまけの現象です。爪楊枝が飛び移るところがメインです。
最後に一言
このマジックを私がはじめて知ったのは、小学生の頃です。当時(40年近く前)、『少年』や『ぼくら』という名前の月刊誌が出ていました。それには付録が付いており、たまにこのような手品のタネが付いていることもあったのです。確か、この爪楊枝を突き刺すパドルもそのような雑誌に付いていた付録だと思います。ボール紙でできており、原理は上の写真のものとまったく同じです。パドルムーブを使ったものは、写真のように宝石が移動したり、鏡に描いたミッキーマウスが消えたり、ケースに飛び移ったりするものまで数多くありますが、今でもこの爪楊枝が飛び移るものが一番好きです。原始的ではありますが、現象がわかりやすく、一般の人に見せても大変うけます。
「ジャンピング・ジェム」(Jumping Gem)と呼ばれる系統のものは、細長い直方体の棒に、宝石がついたおり、その宝石が別の棒に飛び移ったり、色が変わったりします。これも大変きれいなマジックです。
「カラー・チェンジング・ナイフ」はよく知られているでしょう。即席マジックとしては、食卓で使うナイフにティッシュペーパーの切れ端を水で張り付けて、使用するものもあります。
魔法都市の住人 マジェイア