製品名:ヨーロッパの夜: EUROPEAN NIGHTS
出 演:Channig Polock 他
発売元:International Video House
購入先:Stevens Magic Emporium
価 格:$40.00
時 間:約79分
分 類:演技ビデオ、ナイトクラブ紹介、鳩出し
最初に
『ヨーロッパの夜』は1959年に封切られたイタリアの映画です。当時のヨーロッパのナイトクラブで活躍していた芸人を紹介した映画ですが、マジシャンにとっては特別な意味を持っています。長い間、オリジナルのフィルムが見つからなかったため、見たくても見ることのできない幻の映画となっていました。それが最近、ある方の個人ライブラリーから見つかり、今回、ビデオに再編集し発売されました。
内容紹介
この映画が世界中のマジシャンにとって特別なものになったのは、チャニング・ポロックが"Dove Productions"、つまり「鳩出し」を演じているからです。「鳩出し」というのはスカーフなどの中から、次々と鳩を取り出す、今ではすっかりお馴染みのマジックです。
「鳩出し」自体は1940年代にメキシコ人のマジシャンCantuによってアメリカなどに広まり、ポピュラーになりました。しかし何といっても「鳩出し」が世界的に知られるようになったのは、チャニング・ポロックが演じてからです。特にこの映画で、ポロックの演技が紹介されると爆発的に広がりました。
映画が始り、20分くらい過ぎると、当時大ヒットしていたザ・プラターズの"Only You"や"You'll Never Never Know"が流れてきます。この曲が聞こえてきたら、それまで寝ていても、座り直して待ちかまえるのがマジシャンの常でした。この後にチャニング・ポロックが現れます。
私が子供の頃、通学路にある映画館の前に、『ヨーロッパの夜』の看板があったことはかすかにおぼえています。しかし、当時はまだマジックにそれほどのめりこんでいなかったこともあり、映画館で見たことはありません。しかし、どこかで何度か見た記憶がありますので、おそらくTVで放映されたのだと思います。
当時、日本中でいったいどれくらいの数のマジシャンがこの映画に影響を受けたのでしょう。プロ、アマを問わず、多少なりともマジックに関心があるものはほとんど見たはずです。
松田道弘さんにうかがった話では、あるマジシャンは映画館に頼んで、上映期間中、フリーパスになる定期券を作ってもらい、毎日通ったそうです。8ミリカメラをこっそり持ち込み、ポロックの演技の部分だけを撮った人もいたそうです。もちろん影響を受けたのは日本だけでなく外国のマジシャンも同様です。世界中のナイトクラブで、このチャニング・ポロックのコピーが氾濫しました。
科学やその他の分野でも、数十年に一度くらいの割合で天才が現れ、それを機会に一挙にその分野が発展することがあります。「鳩出し」はまさにそのような分野です。
私自身は数年前に知人からこのポロックの演技が入っているビデオテープをもらい、何度も見ました。見るたびに感動します。マジックのビデオを見て、体がふるえるような感動をしたのは、後にも先にもこれだけです。私が今までに見たマジックの演技のなかで、ビデオ、ライブを問わず、まさにVery Bestです。
今回、あらためてこのビデオを見て感じるのは、カードマニピュレーションも鳩の部分も、多くのマジシャンがコピーをしているにもかかわらず、誰もポロックの足もとにさえおよばないということです。とても真似できないのです。いや、正確に言えば、テクニックはコピーできるのですが、できないのは雰囲気です。あの自信、威厳、ムード、これはコピーできません。 その人のかもし出すムードというのは、当人の全人格、ルックス、生きてきた軌跡から出てくるトータルなものですから、他人が真似できないのは当然と言えば当然です。
この映画にはポロック以外にもマジシャンが2,3名出演しています。マジック以外では腹話術、ジャグリング、ピエロ、空中ブランコ、歌手など、当時のヨーロッパのナイトクラブで活躍していた芸人の演技が楽しめます。
魔法都市の住人 マジェイア