My Favorite Tricks

Silver and Copper Trick

 

銀貨と銅貨

2001/2/6


最初に

ジョン・スカーニー(John Scarne)"Silver and Copper Trick"です。これは"Stars of Magic"のシリーズ一回目として、1945年に解説書だけが数ドルで販売されました。"Stars of Magic"はすでに紹介しましたので、詳しいことはそちらを参照してください。

現象

アメリカの50セント(銀貨)とイギリスのペニー(銅貨)を使います。

観客に、手のひらが上を向くように広げてもらいます。左手には銀貨を、右手には銅貨を置き、はっきりと見せた後、しっかりコインを握ってもらいます。確認のため、右手を開けてもらいます。確かに銅貨です。もう一度しっかり握ってもらいます。

左手を開けてもらいます。こちらは銀貨です。マジシャンはその銀貨を取り上げ、観客が握っている右手の中に、この銀貨を投げ込んでみせると宣言します。

マジシャンは銀貨を自分の左手に握り、その拳で、観客が握っている右手を軽くたたきます。観客に「何か感じましたか?」とたずねると、たいていの観客は「ノー」と答えるはずです。しかし、手を開けると、マジシャンの握っていた銀貨が消えて、観客が握っていたはずの銅貨がマジシャンの手から現れます。観客にも手を開けてもらうと、いつの間にかそれが銀貨になっています。

コメント

コインマジックの中では、私がもっともよく演じているトリックです。他に好きなコインマジックとしてはダイ・ヴァーノンの「スペルバウンド」や「チャイニーズ・クラシック」、デビッド・ロスの「ウイングド・シルバー」などがありますが、実演回数から言えば、これが一番多いと思います。このマジックをよく演じるのは、ポケットに10円と100円があればいつでも演じられるからです。テーブルも不要ですので、立ったままでも見せられます。

このマジックはまったく何の仕掛けもないごくふつうのコインを使っていることと、観客自身がしっかり握っているコインが変化しますので、とりわけ印象が強烈なようです。

私自身が演じるときは、最初に10円硬貨と100円硬貨を見せたとき、観客にどちらかのコインを指定してもらいます。マジシャンズチョイスを使い、それを握ってもらいます。変化させる部分はスペルバウンドのように、硬貨の表面を指先でちょっと撫でる動作で変えています。

もしD.F.コインを持っているのでしたら、フレッド・カップスがやっている方法に続けることもできます。詳しいことは書けませんが、ざっと説明すると、一枚をD.F.コインにスイッチします。そのた後、公明正大に10円と100円を観客の右手に置いて、確認してもらってから、2枚とも右手に握ってもらいます。マジシャンは手に何も余計なものは持っていないことを示した後、観客が握っている拳を少しゆるめてもらい、指先だけを入れて、観客の拳から1枚だけコインを取り出します。仮にこれが10円硬貨であったとしましょう。その10円をしっかり見せた後、指先で擦ると100円硬貨に変化します。観客に手を開けてもらうと、それが10円になっています。

観客からすれば第一段も第二段も同じようにしか見えませんので、あえて第二段を続ける必要はありません。しかし、だれかに第一段を見せたとき、そばに別の観客がいて、その人もひどく驚いているようなら、今度はその人に第二段の方法でやってあげてもよいでしょう。この第二段を使うと、大変クリーンに演じることができます。最後はD.F.コインがマジシャンの手に残りますが、第一段を見せたときに硬貨は十分あらためていますので、二段目が終わればそのままポケットに入れてしまって問題ありません。

スカーニーの解説書には、第一段が終わった後、一枚のコインをポケットに入れると、それがズボンの布を貫通して外に出てくるマジックも解説されています。

魔法都市の住人 マジェイア


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