Johnny Thompson
Commercial Classics of Magic
製品名:コマーシャル・クラシックス・オブ・マジック
出 演:ジョニー・トンプソン
購入先:L&L Publishing
価 格:各巻$29.95 4巻セットで$110.00
制作年:1999年
最初にジョニー・トンプソンはステージネームとして「ザ・グレイト・トムソーニ」を名乗っています。ステージマジシャンとしてよく知られていますが、クロースアップマジックも大変うまく、幅広いレパートリーを持っています。またダイ・ヴァーノンやチャーリー・ミラーをはじめ、高名なマジシャンとも数多く親交がありました。すでに亡くなってしまい、今となっては見ることのできないマジシャンの若いときの姿を知っている数少ない生き証人の一人です。文献やビデオではわからない細かい部分までよく知っているため、そのような意味でも大変貴重な存在です。
このビデオは1999年にL & L Publishingから4巻セットとして発売されました。全巻で、40近いマジックが解説されています。しかもビデオのなかで演じているのはダイ・ヴァーノン、マックス・マリニ、エド・マーロー、アル・コーラン他、いずれもよく知られているマジシャンの作品ばかりです。トンプソン氏自身、自分のレパートリーとして長年愛用しているマジックであり、全編クラシックと呼んでよいマジックが紹介されています。
どれも傑作中の傑作ばかりですから、この中の10種類でも自分のレパートリーになれば、アマチュアが楽しみでマジックをやるには十分過ぎるくらいです。毎年数多くの売りネタが発売されますが、1年単位で振り返ってみると、年にひとつでも自分のレパートリーに入るものがあれば上出来です。たいていは、一度か二度クラブの例会等で見せたら、あとは引き出しの中に埋もれたままになってしまいます。新奇なものを追い求めるより、ここに解説されているマジックをひとつひとつ練習して、数年かかっても、これをマスターするほうがどれだけ役に立つかわかりません。生涯の目標にしてもよいくらいです。ここにあるものをひとつマスターしたほうが、何倍もマジック本来の楽しさを味わえます。
最近発売される数多いビデオを見ても、10本くらいのなかで、ひとつでも真似してみたいと思うものがあればよいほうです。ここで実演し、解説されているものは、使えないものはひとつもありません。金銭面でも時間的な面でも、これほど効率のよい買い物はありません。
内容紹介
VOLUME 1
「ボールとネット」 Balls & Net (Silent Mora, Dai Vernon)
ハンカチくらいの大きさのネット(網)を観客に持ってもらい、その上で小さなボールを手から手に飛行させます。
「コイン・スルー・テーブル」 Coins Through Table (Al Baker)
アル・ベーカーの手順を元に、ヴァーノンがグラスを使って音による効果を付け加えた「カンガルーコイン」です。
「ハン・ピン・チェン・コイン・トリック」 Han Ping Chien Coin Trick(Han Ping Chien)
コインマジックのベーシック技法、ハン・ピン・チェンムーブの解説。
「ウイングド・シルバー」Winged Silver (Dai Vernon)
コインの飛行現象。 銀貨を一枚加えることで、ミスディレクションが容易になっている。
「カッパー・アンド・シルバー」 Copper & Silver Transposition(Dai Vernon)
観客の手の中で、銀貨と銅貨が入れ替る。
「ヴァニシング・グラス」Vanishing Glass(Glass Through Table) (Max Malini)
ガラスのコップがテーブルを通り抜ける。
「ベンソンズ・ボウル・ルーティン」 Benson's Bowl Routine (Roy Benson)
ボウル(お椀)を1個と、スポンジボールを3個使って演じるカップアンドボールのようなルーティン。
「マッチング・ザ・カード」Matching the Cards (Leipzig's Opener)
観客の選んだカードと同じ数字のカードを見つけるが、失敗する。最後に意外なクライマックスがある。
「オートマチック・エーセス」Automatic Aces (Birds of a Feather) (Hofzinser)
観客のお尻の下に4枚のエースが集まる。「マクドナルドのフォーエーセス」のトンプソン氏のヴァリエーション
VOLUME 2
「トラベラーズ」「カード・イン・エンベロープ」 The Travelers - Card in Envelope(Dai Vernon - Paul Le Paul)
観客にサインをしてもらった4枚のエースが体のあちこちのポケットから出現する。最後の一枚はルーポールの方法で、密封した封筒から現れる。
「トライアンフ」 Triumph (Dai Vernon)
『スターズ・オブ・マジック』に解説されている方法ではなく、ヴァーノン自身が実際に演じている「ストリップ・アウト・シャッフル」を使った方法を解説している。
「エンドレス・チェイン」The Endless Chain (George Blake)
両端をつないで、円形になった鎖で演じる一種のいかさまゲーム。3段からなる。これを見るとやってみたくなった。
「ポーカー・ルーティン」Vernon Poker Deal (Dai Vernon)
ポーカー・ゲームでどのようにしてギャンブラーが勝つのかを見せる。「ザロー・シャッフル」の解説がある。
「チンカチンク」 Chink-A-Chink (Max Malini)
角砂糖を4つ使って演じる即席マジックの傑作。マリニの原案がいかにヴィジュアルですばらしいかよくわかる。
「キャップ・アンド・ペンス」 The Cap & Pence (Nate Leipzig)
お札で円錐形のキャップを作る。観客の手の上に数枚の硬貨を積み上げて、キャップをかぶせると、硬貨が手の甲を貫通して下に落ちる。ライプチヒが愛用してたマジック。
「メンタル・カード・ミラクル」 Mental Card Miracle (Princess Card Trick) (Harry Harper/Dai Vernon)
スペードのAから5までの5枚のカードを見せ、観客に一枚だけ心の中で思ってもらう。それを当てる。
VOLUME 3
「ビドル・トリック」 The Biddle Trick (Eimer Biddle / Alex Elmsley / Ed Marlo)
「ビドル・ムーブ」や「ビドル・ポジション」にその名を残しているビドルのオリジナルトリックをもとにしたカードの移動現象。
「マリニ・カード・スタブ」 Malini Card Stab (Max Malini)
目隠ししたままナイフを突き立てて、3名の観客のカードを当てる。大変劇的であり、マリニが得意にしていただけのことはある。
「コーラン・メダリオン」 Koran Medallion (Al Koran)
3人の観客からひとつずつ数字を言ってもらい、3桁の数を作る。マジシャンの首からかかっているペンダントをはずし、観客にペンダントの裏を読んでもらう。そこには予言として、前もって数字が書かれている。それが観客の言った数字と一致している。
「ヘッズ・アップ」Heads Up
観客から10枚程度の硬貨を借りる。種類は適当に混ざっていてもよい。観客が選ぶコインの年号が予言されている。
「アウト・オブ・サイト アウト・オブ・マインド」 Out Of Sight, Out Of Mind(Dai Vernon)
一組のトランプから、観客に一枚だけカードを思ってもらい、それを当てる。
「ファントム・シガレット」 Phantom Cigarette (Manuel)
パントマイムでシガレットぺーパーを巻く動作をしていると、本物のタバコになる。
「ハンキー・パンキー」Hanky Panky (Emil Jarrow)
火のついたタバコがハンカチと紙を通り抜けるが、ハンカチにはどこにも穴はない。
「スペルバウンド」Spellbound (Dai Vernon)
ヴァーノンのあまりにも有名なコインマジック。1枚の銀貨を指先でなでると、銅貨に変わる。これが何度か繰り返される。
「プレスト・チャンゴ」Presto Chango (Thomas Beardon)
銀貨2枚を手に握ると一瞬にして2枚とも銅貨になる。またそれが銀貨に変化する。観客の手の中でも変化する。
これを先のスペルバウンドの後に続けるのは大変うまい。スペルバウンドは地味な芸だが、2枚が同時に変化するのは視覚的にも強烈であり、いっそうインパクトが強くなる。
「コイン・イン・ボトル」 Coin In Bottle
クラシックマジックのひとつではあるが、トンプソン氏のハンドリングがすばらしい。コインが瓶の中に貫通した後、瓶に貼ってあるラベルを利用してさりげなく手をあらためる方法や、最後、瓶から取り出す方法もうまい。よく行われているのは取り出した後、シャトルパスなどでスイッチするが、この方法では瓶から出たコインがテーブルの上に落ちたあと、スイッチは不要。放っておけば、観客がそのコインを取りあげ、勝手にあらためてくれる。マジシャンが触れる必要がない。これを知っただけでも、このビデオ10本分くらいの値打ちがある。
「スリー・ボール・ルーティン」3 Ball Routine (John Scarne / Oscar Pladic)
3個あるボールのうちひとつをポケットにしまうが、手を開けるとまた3個になっている。最後は3個とも消える。
「即席の鳩出し」No Body Load Livestock Production(Tony Marks)
鳩をハンカチから一羽だけ出す方法としては大変簡単にでき、準備もほとんど不要。体に仕込まないので、どのような上着を着ていてもできる。
VOLUME 4
「カップ・アンド・ボール」 Cups & Balls (Malini / Miller / Gayot / Bosco / Vernon / Daley)
マリニやヴァーノンなどの物まねをおりまぜながら見せてくれる。カップアンドボールをこれほど楽しく見たのははじめて。
「カッティング・ジ・エーセス」 Cutting The Aces (Dai Vernon)
ギャンブルで片腕をなくした男の話をしながら、バラバラに入れたフォーエースを片手で鮮やかに取りだしてみせる。トンプソン氏は物まねや声色がうまいので、それだけでも観客を楽しませてくれる。
「カラー・チェンジング・ナイフ」 Color Changing Knife
トンプソン氏のルーティン。小さなポケットナイフを1本とりだし、色を変えてみせる。その後もう1本とりだし、赤と白のナイフで交換現象などを行う。最後はまったく別の色になる。シンプルではあるが、大変実用的な手順。
「カラー・チェンジング・デック」 Color Changing Deck (Henry Christ / Paul Curry)
トランプの裏の色が全部変わってしまうポール・カリーの有名なマジック。デック全体のカラー・チェンジとしては、これかヴァーノンのものが双璧。
「インタビュー」
これだけでなく、すべてのマジックにマイケル・アマーとの対談がついています。 最後のインタビューでは、チャーリー・ミラー、ダイ・ヴァーノン、マックス・マリニなどの思い出や、「よいマジシャンになるための方法」についてアドバイスしています。
魔法都市の住人 マジェイア