最初に
あまりにも有名な、あの「スポンジのウサギ」です。 マニアにとっては、何を今さらと思うかも知れませんが、これほど不思議で楽しいマジックもありません。永遠のレパートリーです。 現象 スポンジでできた2匹のウサギがいます。一匹は太郎で、もう一匹は花子です。 この二匹のウサギが観客の手の中に飛び込んだり、数匹の子供を産んだりします。 観客の手の中で現象が起きるので、想像している以上の反応が観客から返ってきます。 最後に一言 基本的な現象は上記のようなものですが、演出は様々なバリエーションがあります。 食事の席などで見せるのであれば、テーブルの上にある野菜の切れっ端を小道具に使えます。また、色の違う小ウサギを混ぜておき、「不倫」のギャグを入れてみたり、避妊用のピルを取り出し、産まれるはずの子供が産まれなかったりと、様々な演出が発表されています。 自分自身の雰囲気や観客の好みに応じて、適宜使い分けて演じてください。大抵のマジシャンにとって、お気に入りのマジックになるはずです。 20数年前、私が最もマジックに狂っていた頃、普段でも、鞄にネタを詰め込めるだけ詰めて歩いていました。(汗) 最近は鞄に入っているのはトランプ一組くらいのものです。 昔、初めてイタリアに行ったときも、このウサギは持って行きました。そのとき、フィレンツェでおみやげを買うのなら「イル・パピロ」(IL PAPILO)という、マーブル紙の専門店がよいと教えてもらっていたのでそこへ行きました。 この店はフィレンツェの名産品のひとつである「マーブル紙」を使ったレターセットや小物などを製造販売しています。値段も高くなく、それでいてどこにでもあるというものでもないので、おみやげに最適です。実際、ここのレターセットやノートは、もらった人が、使うのが惜しいと言うほど、好評なのです。女の子の気を引こうと、有名ブランドのバッグを漁らなくても、2,000円程度で十分感激してもらえます。またこのようなもので感激してくれる女性とお付き合いしましょう。(余計な一言。(汗)) 閑話休題 イル・パピロの中を物色していると、まったく偶然に、写真の左上にあるような、ウサギの形をしたピンク色のケースを見つけました。右の赤いウサギは日本から持っていったスポンジのウサギです。大きさは約10センチほどある、比較的大きなタイプです。とにかく、このケースを見たとき、このウサギのために作ったのかと思えるほど、大きさも形もピッタリだったのです。これは女の子にさりげなくマジックを見せるときの導入して、またとない品だと思い、すぐに購入しました。値段は日本円で1,500円程度のものです。 買って数日後、日本から来ていた若い女性の二人連れに、さっそくこれを使ってマジックを見せました。 彼女たちとは前日も一緒に夜遅くまで飲んで、すっかり仲良くなっていたので、別れ際に、「明日の晩、ぜひあなたたちに見せたいものがあるのですが.....」と言うと、翌日の夕方、興味津々でレストランに来てくれました。 食事も一段落したので、このウサギのケースを取り出し、「先日フィレンツェで買った、マーブル紙でできたケースなんだけど、中を開けてみると、こんなウサギが2匹入っていました。名前はマリオとマリアだそうです」と続けて、後はいつもやっているような手順を見せました。 マリオとマリアというのは、イタリアなので、その場で苦し紛れに思いついた名前です。(笑) 日本では「太郎と花子」でやっています。 日本に帰ってきてからも、このウサギのケースはずいぶん役に立ちました。 おみやげを手渡すとき、フィレンツェ特産の、思い出しただけでもよだれが出てくるTボーンステーキやワイン、それに特産品でもある銀細工やマーブル紙の講釈も兼ねて、このウサギのケースを取り出すのです。それからマジックを見せると、いきなりマジックの道具を取り出すよりずっと自然な導入になります。 このような導入のパターンをいくつか持っていると、マジックを見せるきっかけとして重宝します。
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