Five Coins and A Glass
最初に1930年代、ヴァーノンがナイトクラブに出演していたとき好んで演じていたコイン・ルーティンです。クロースアップからパーラーまで、幅広く演じられます。
もしひとつだけ、コインマジックのルーティンをマスターするのであれば、私はためらわずにこれを選びます。現象もすっきりしていることに加えて、ハンドリングの巧みさに感嘆します。ヴァーノンの"Be Natural"というのがどのようなものなのか、このルーティンを練習してみるとよくわかります。構成にこれほど感激したマジックもありません。本を読みながら、途中で何度もため息が出ました。
現象
シャンパングラスをひとつ使います。両手が空であることを示した後、空中から1枚のコインを出現させます。続いてあと4枚のコインが現れます。(この部分のハンドリングがすばらしい。両手が空であることを、ごく自然な動作のうちに示しながら、全部で5枚のコインを出現させます。)
出現した5枚のコインを一枚ずつ消して、グラスに飛行させていきます。
もう一度5枚のコインを消し、最後は、5枚のコインが一度に星のように広がって、指先に出現します。
コメント
今回紹介しました"Five Coins and A Glass"はヴァーノンのオリジナルと言ってよいのですが、元になったルーティンがあります。エドワード・ヴィクターの"A Silver Collection"です。1940年代に出版されたヴィクターの"The Magic of the Hands"に載っています。この中にある、コインを右手から左手へ、左手から右手に移し換える動作がヴァーノンも気に入り、これを使う自分なりの手順を組み立てたのでしょう。
決して簡単なマジックではありませんが、一度マスターしておくと、これほど役に立つルーティンもないでしょう。機会があればぜひ習得してください。
なお、使用するコインはアメリカのハーフダラーでもできますが、ハーフダラーと同じ大きさで、厚みが少し薄い「パーミングコイン」と呼ばれるものを使ったほうが楽です。これはアメリカでしたら、扱っている店も多く、たいていおいているはずです。ハンク・リーの店では、独自のデザインのパーミング・コインを売り出しています。
Palming Coins:12枚で6ドル
上記のハンク・リーのものは、5枚で普通のハーフダラー3枚分の厚みしかなく、表面も本物のハーフダラーに比べて平らですから、パームするにもこのほうがずっと扱いやすくなります。
THE VERNON CHRONICLES VOLUME ONE;THE LOST INNER SECRETS(by Stephen Minch, L&L Publishing)に載っています。
また、The PALLBEARERS REVIEW:Close-Up Folio #8(1977年)にも"The Five-Coin Routine"として載っています。
ビデオは"Vernon Revelations"Vol.5で、断片的ですが解説されています。
魔法都市の住人 マジェイア