最初にコインマジックの専門家、デビッド・ロス(David Roth)の作品です。数多い彼のオリジナルトリックの中でも、最もよく知られているのがこれでしょう。
現象
4枚のコイン(ハーフダラー)を左手に握ります。それが一枚ずつ、「見えない飛行」をして、右手に飛び移ってきます。
最後に一言
デビッド・ロスの名前が日本でも知られるようになったのは1970年代の後半からです。カードマジックの専門家は数多くいますが、当時、コインマジックしか演じない、本当の意味でのコインマジックのエクスパートは世界中見渡してもほとんどいなかったのです。その最大の理由は、コインマジックだけを見せて、食べて行くことは無理だと思われていたからです。デビッド・ロスがプロの世界にデビューしてからもう20数年になりますが、今でも彼はコイン一筋です。
初来日は1979年で、大阪でもレクチャーがありました。その数年前から評判は聞いていましたので、実際に見せてもらうのはとても楽しみでした。レクチャーで、うわさの「シャトルパス」"Shuttle Pass"を使った、「ウイングド・シルバー」"Winged Silver"を見せてくれたとき、あまりのすごさに観客から喚声が上がっていました。当時は今と違い、ビデオも出ていなかった頃ですかkら、シャトルパスを実際に見るのはその時がはじめてだったのです。
「シャトルパス」はデビッド・ロスのオリジナル技法です。この技法だけで、彼の名声は確立したようなものです。これは大変応用範囲が広く、今では様々なコインマジックで使われています。彼のオリジナルと言いましたが、元になる技法は昔からありました。「ユーティリティムーブ」"Utility Move"と呼ばれていたものです。原理自体はこれと同じですが、「シャトルパス」が画期的であったのは、「残像」を利用した点です。
彼がこれを行うと、左手のコインを右手に軽く投げ渡しただけのようにしか見えません。
少し専門的になりますが、ビデオや本で、彼のシャトルパスを知っている人向きに説明しておきます。
左手にあるコインを見せ、右手が近づいてきて、一瞬両手が出会い、右手がコインをキャッチしてり、その後、右手は指先にコインを持ったまま右のほうに動きます。
この一連の動作の中で両手が出会うとき、コインの残像が生じるようにするのがポイントです。この残像のため、観客の立場で見ていると、コインが隠れる瞬間がないのです。実際には0.1秒くらい見えない瞬間があるのですが、その部分が残像でカバーされています。 この部分はビデオをしっかり見て研究してください。
推薦するビデオは、タネンから出ています"Stars of Magic"のシリーズの"DAVID ROTH"(1984年)か、A-1 MULTIMEDIAの"David Roth's EXPERT COIN MAGIC ... Made Easy!"(全3巻のVol.1,1995年)です。
魔法都市の住人 マジェイア