あなたはなぜ人にマジックを見せるのか、自分がマジックを見せる目的は何なのかといったことを考えたことがありますか？一度、考えてみてください。虚心に瞑想でもしてみてください。（笑）

このような質問をすると、いくつかの答えが返ってきます。

１．人に夢を与えたいから。

「人に夢を与えたいからマジックをする」という声を、驚くほどよく聞きます。私など、このようなことを聞くと、この人は正気なのかと思ってしまいます。（汗）

マジックを見せて、本気で他人に夢を与えることができると思っているのでしょうか。もしそうなら、相当おめでたい人です。このようなことを言う人は、自分自身はマジックを見たとき、何か夢を与えられたのでしょうか。いったいどんな夢を与えられたというのでしょう。私はそれが知りたい。（笑）

２．「すごーい」と思われたいから。または人気者になりたいから。

もし正直にこう思っているのなら、動機のメンタリティとしては健全でしょう。早晩、「マジックと人気者」との間に関係はないこと。相関は限りなくゼロに近いか、または負の相関があることに気づきます。そのため、放っておいてもそのうち目が覚めさます。

３．アイデンティティの維持のため。

人間は生きている限り、優越追求をしています。マジックには、「タネ」という便利なものがあるので、それを知らない観客より優位な立場に立てます。しかし、この程度の優越性など、実際にはアイデンティティの維持や確立には、屁の突っ張りにもなりません。すぐに崩壊します。そのため、放って置いても、数年したら目が覚めてマジックをやめて行きます。

４．なんだか知らんが、マジックが好きだから。

私もそうですが、マジックを何十年と続けている人の多くがこれでしょう。（笑）

私の場合、　４，５歳のころ、父が宴会で覚えてきた簡単なマジックを見せてくれました。それがきっかけで、不思議なことを見るのが好きになってしまいました。なってしまったと言うより、元来、そういうものに興味を示す「体質」だったのでしょう。それで飽きもせず、数十年、”道楽”というより、”道落”になってしまっています。

とにかく、それが今でも続いており、自分自身が不思議な現象を見るのが好きだから、同じようなことに興味を示しそうな人に見せてあげたいという、ただそれだけでマジックをやっています。

私自身がこのようなタイプなので、誰かと普通の会話をしているとき、この人なら、興味を持って見てくれそうだと思ったら、マジックを見せます。そういうことに関心のなさそうな人にはマジックなど見せません。この辺りのことはある程度経験を積むしかないのでしょうね。何度も失敗を重ねているうちに、徐々にわかってきます。私にとってマジックというのは、妙にインテリジェンスを刺激するものの一つなのです。

また、私にとって、マジックを見せるというのは、子供が自慢のおもちゃを友達に見せびらかしているのと同じです。（汗）　普通の大人なら、こちらの、このような小さい子供のようなメンタリティを見抜いていくれます。つまり、この人はこんなことで喜ぶ人なんだということを相手に知らせる手段の一つになっています。今ではそれを意識的に利用している節もあります。

あなたはどうなのでしょう。なぜ自分は人にマジックを見せるのかを考えてみると、意外な気づきがあるかもしれませんよ。

魔法都市の住人　マジェイア

indexへ 魔法都市入口へ

---

k-miwa@nisiq.net:Send Mail