ショー&レクチャーレポート

 

フリップ レクチャー
Flip Lecture

日時:1997年11月29日 午後6時半開演
会場:大阪 阪急グランドビル26階
会費:6.000円
主催:大阪奇術愛好会


Flip 30年間続いた「天海賞」が、世話役のフロタさんの引退のため、今年で終わります。最後のパーティに出席するゲストとして、オランダのフリップ氏(Flip)が招かれました。毎年、東京での天海賞のパーティの後、来日したゲストが大阪でレクチャーをやってくれるのが慣例になっています。

会場には天海賞の主催者であるフロタさんも一緒にお見えになっており、通訳は大阪奇術愛好会のメンバーでもあり、FISMの審査員でもある瀬島淳一郎氏です。

フリップ氏は1977年が初来日で、今回で4回目だそうです。初来日のとき見せてもらったフルートの消失・出現を中心にしたルーティンは、一般的なマジックというイメージからほど遠く、新鮮な驚きがありました。

正直に言うと、彼のような演技は、一度見てしまうと、何度も見たいというものではないので、今回は少々疲れました。やはり意外性がないとマジックはおもしろくありません。彼の演技そのものは昔と比べても全然衰えておらず、切れもよいのですが、一度見てしまったマニアにはあまりウケないと思います。

あのフルートやロープの演技は彼がやるからこそ鮮やかなのであって、他の人がやっても仕方がないでしょう。観賞用の演技であり、教えてもらってもできないと思います。技術的にはそれほど難しいものではありませんが、パントマイムが中心になるので、顔の表情やボディアクションといった基本的なことができないと、とても演じられません。そのため、解説のときは、半分寝ていました。

スライハンド(テクニック)中心の演技は、どうしても自分がマスターした技術を中心にルーティンを組み立てますから、2度目、3度目となると見る側は飽きてきます。やはりマジックは意外性こそが命です。高度なテクニックや風変わりなもので、一時、トップの座に行きつくことはそれほど難しいことではありません。しかし、トップになるより、トップを維持し続けることは、その数倍難しいのはこのあたりのことも関係しているのでしょう。

レクチャーで見せてもらったものをざっと紹介しておきます。

オープンニング:封筒からワインボトルの写真を取り出します。封筒は空です。写真を封筒に戻すと、中から本物のフルボトルのワインが出てきます。
(これはマジックのオープニングは大変優れたマジックです。ボブ・リードほか数多くのマジシャンがやっています。)

前半:有名なフルートの演技(ターベルコースの第7巻に解説があります)、ウォンドとボール、ロープのマジック。
タバリというフランス人のマジシャンが、最近、どこかの大会でロープマジックを見せて優勝していました。タバリの演技の1/3は私が教えたのだと、ちょっと自慢していました。

後半:小ネタ集です。5,6点見せてくれました。私が一番気に入ったのは、厚紙の表に、ハートが半分に千切れたものが張ってあり、裏にも同じようなものが張ってあります。片面のハートを手に取ると、消えてしまいます。裏を見ると、一枚の完全なハートになっています。このハートは厚紙から簡単にはがれ、客にプレゼントできます。

これ以外では、「予言」や千円札と一万円札の入れ替わりなど数多く見せてはくれましたが、それほどインパクトのあるものはありません。ただ、「透視」のマジックで、客にメモ用紙を渡して、3桁の数字を書いてもらい、それを当てるというマジックがありました。そこで使われている原理は彼のオリジナルだそうです。

レクチャーが終わってから、フリップ氏他、数名で31階にあるレストランへ行きました。そこでの雑談は「魔法都市日記(13)」をお読みください。


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