ショー&レクチャーレポート

2000/2/28記


グランドビスタ特別企画
マジックショー

小川心平スペシャルライブ・ イン神戸

 

日時:2000年 2月26日(土曜)・27日(日曜)
会場:神戸・北野 ホテルグランドビスタ

ティータイムショー 26日(15:00〜16:30) \ 3,000
ディナーショー   26日(18:00〜20:30) \10,000
ランチタイムショー 27日 (12:00〜13:30) \ 4,000

ランチタイムショーの後、レクチャーに参加する人はプラス \1,000
さらにその後、小川さんを囲んで懇親会もありました。


長崎で活躍しておられるマジシャン、小川心平さんのライブが土曜・日曜に神戸でありましたので、昨日(27日)行ってきました。

小川心平さんの名前は30年前から知っていましたが、関西では小川さんのライブを見る機会がなかったため、私が小川さんのマジックを見るのは今回が初めてです。

30年前から名前を知っていると言っても、それは昔、加藤英夫氏がテンヨーから出しておられた月刊の小冊子『まじっくすくーる』(No.73 昭和45年5月25日発行)で、小川さんの名前を見たことがあるだけです。それが今からちょうど30年前です。

長崎に住んでいた、当時中学2年生の小川心平少年がテンヨーにカタログの請求をしたとき綴った一文と、加藤英夫さんがその手紙に返事を書いたものが、先の『まじっくすくーる』に掲載されていました。そこに載っていた小川さんの手紙を一部引用させていただきます。

「手品に興味をもってから、もう3年になります。いろいろな面に活用していますが、やはり失敗も多いです。しかし、世界一のマジシャンになるためにがんばっています。ボクにはテンヨーがついているから......。(中略)そして、もっとたくさんの手品をおぼえて、世に残る手品師になりたいのです」

「小川心平」という名前を知ったのはこれがはじめてです。「心平」という名前が珍しいこともあったのでしょうが、中学2年生で、そのころからすでに世界一のマジシャンになりたいと言っていることが印象深かったのかもしれません。ともかく、この手紙だけはずっと私の記憶に残っていました。

それから20年ほどして、小川心平というマジシャンが長崎で活躍していることを聞き、あのときの少年が頑張っているのかと、懐かしく思った次第です。その後、レクチャーノートや、小川さんが販売されているオリジナル商品は何点か購入したりしましたが、長崎まで行く機会もなかったため、生でマジックを見ることは今までできませんでした。

それが今回、大阪のリチャード・渋谷さんが、小川さんを神戸に招く企画を立ててくださり、やっと見ることができました。


会場のホテルグランドビスタは、新幹線の新神戸駅から歩いて数分のところです。「風見鶏の館」などが立ち並ぶ、「異人館通り」のそばでもあります。

今回は土曜、日曜で計3回のショーがあり、どれも内容が違ったそうです。 私が参加したのは、日曜の「ランチタイムショー」(12:00−13:30)と、その後に続いてあったレクチャーです。

当日、私は2時頃から予定があったため、ショーだけを見せていただいて、レクチャーには参加しないつもりでした。それが、ショーがあまりにもおもしろかったため、これならレクチャーも絶対おもしろいと思い、それで急遽、2時からの予定を変更して、レクチャーにも参加したのです。本当にそれくらい小川さんのショーはすばらしかったのです。レクチャーも実際に使えるものが多く、これも珍しいことでした。

小川さんのショーの前に、大阪で活躍中のマルチ・パフォーマー、リチャード・渋谷さんのバルーンを中心とした芸も、2,3年ぶりに見せていただきました。この数年で、すっかりプロとして通用する芸になっており、これも驚きました。

ペンシルバルーンを使った造形で、一回も風船を割ることなくあのような複雑なものを作るのですから大したものです。造形だけならアマチュアでもできますが、観客を飽きさせない工夫もあり、あのようことができてやっとプロとしてやって行けるのでしょう。

リチャード・渋谷

リチャードさんのショーの前に食事が出ました。食事を含めて4,000円というのですから、食事は簡単なサンドウィッチ程度のものか、幕の内弁当でも出るのだろうと思っていましたら、これがコース料理が出てきたので、これも驚きました。グランドビスタは料理に定評があるホテルですから、スープも、魚を中心にしたメインディッシュもとてもおいしくいただけました。本当にこのような料理とショーで4,000円なんて信じられません。「グランドビスタ特別企画」となっていましから、協賛のような形で企画されたものだと思います。このようなショーを年に1回でも開いていただけたらうれしいことです。 (リチャード・渋谷さんのサイトにジャンプできます)

レクチャーを受ける人はこれにプラス1,000円ですが、あのような使えるレクチャーが1,000円で受けられるのですから、これもタダみたいなものです。


私が参加しましたのは、日曜のランチタイムショーですから、そのときの報告しかできませんが、おそらく土曜日の夜にあったディナーショーでは、本格的なステージマジックが中心であったと思います。

なお、以下の紹介はショーとレクチャーが一緒になっています。順番も順不同で紹介していますので、そのつもりで読んでください。

小川心平

★合計金額の予言

観客一人に小さな封筒をあずけておきます。中には予言が入っています。 別の観客3名に、自分自身の小銭入れから、現在持っているすべての小銭を出してもらいます。3人の金額を合計したものが、封筒に予言されていました。

これは無茶苦茶不思議です。3人の合計金額を出したのは、私がメモ帳を渡されやりましたので、電卓を使ったようなものではありません。そのうち発表するかも知れないとおっしゃっていました。

★ハンカチの飛行

シルクのハンカチにサインをしてもらい、それがフランスパンの中から出てくるマジックがあります。それのバリエーションのひとつです。フランスパンから出てくるのも十分おもしろいのですが、昨日のは、「ぎゃー」と悲鳴が上がりました。まだ見ていない人のために現象を詳しく書くことはひかえておきます。

★「スプーン曲げ」を数種

これは本当にうまい。「スプーン曲げ」には様々な方法がありますが、何の仕掛けもないスプーンを使い、ミスディレクションとタイミングだけであれほど見事に曲がるものだとは思いませんでした。

さらに、手ではまず曲げられないホテルで使用している銀製の太いスプーンまで曲げていました。これはちょっとしたギミックを使うのですが、これを使うと曲げるだけでなく、ねじることもできるそうです。今回はねじってしまうともう使い物にならないので、ホテルの高価な銀製のスプーンは軽く曲げる程度でやめていました。

スプーン曲げで、私が一番おもしろかったのは、「ユリ・ゲラー」本人から小川さんが直接習ったという方法です。といっても私の興味を引いたのは、その方法よりも、ユリ・ゲラーが、特定の人には自分のやり方を公開しているという点です。「自分は超能力者ではないよ」というのを半ば公表しているのと同じ事ですから、これに一番興味を持ちました。

★時計

観客から腕時計を借りて、手の中にその時計を握っていてもらいます。紙に時計の文字盤のような円を描き、ボールペンを持って円の上をグルグル回しているとき、「ストップ」と言ってもらいます。ストップと言われた部分でボールペンを止めて、そこに針を描きます。もう一度、同じことをやってもらい、2本の針を描きます。それが仮に8時20分になっていたとします。先ほどから手に持っている時計に「念」を送ってから手を開いてもらうと、時計の文字盤も8時20分を指しています。(実際の時刻は、まったく別の時刻です)

これがPerfect TimeやMusiCallを使わずにできるのがすごい。まったく仕掛けのない時計で演じるため、技術的には2カ所ほど難しい部分があります。今思ったのですが、MusiCallを併用すれば、少なくとも1カ所は楽にできますね。しかし、実際にはレギュラーの時計でできるに越したことはありません。

★サムタイム

先の「時計」に続いて、ビニールテープを取り出し、左手の親指と人差し指に巻き付けて、二本の指をしっかりと縛ります。(指の中程まで)絶対に指が抜けないのに、親指と人差し指の空間に、切れ目のない時計バンドが貫通します。

日本古来から伝わる「サムタイ」は両手の親指を縛りますが、これは片手だけでできます。本式の「サムタイ」をマスターしようと思えば相当本格的な練習が必要です。しかし、この「サムタイム」はちょっとしたギミックを使うため、2,3度練習すればすぐにでもできます。簡単ですが、効果は本格的な「サムタイ」と変わらないくらいよくできています。

★丸薬の出現

インドのサイババや、中国の「超能力者」と称する女性がやっている方法です。空の手から、指先に直径5ミリから7,8ミリ程度の丸薬が出現します。

サイババはこれを砕いて粉にしているだけです。大変原始的な方法ですが、このようなものでも有り難いと思う人が現実に大勢いるのですから、人の心は不思議です。

★カードマジック数種

カードマジックはあまりやらないと言いながら、アンビシャスカードのちょっとしたアイディアや、心理的誘導でフォースするマジックなどを見せてもらいました。

長年の経験で、助手になってもらう人を観客の中から選び出すのがポイントになるマジックです。これに関しては、完全な種明かしはなかったのですが、もし予定したのと違う結果が返ってきたら、そのときはそれはそれなりのバックアップは当然準備できているはずです。昨日はうまく行った例が見られたようです。

★グリーンピースとティッシュペーパー

先ほどのサイババの方法で指先からグリーンピースを1個取り出します。観客からティッシュペーパー1枚もらい、グリーンピースとティッシュペーパーを一緒に握ると、あるものに変わります。唐突に予想外のものが現れ、私はこれがすっかり気に入りました。小川さんのオリジナルで、売りネタとして販売されていましたので、これを真っ先に買いました。(1,500円)

追加:(2000/3/5)上記以外で、思い出したものがありましたので追加しておきます。

★シガー・スルー・スプーン

タバコがスプーンの腹の部分を貫通します。そのままタバコに火をつけて吸うこともできます。

★「ダブルX」の10円玉ヴァージョン

「ダブルX」のギミックを使ったカードマジック。

★ルービック・キューブ

20年近く前、大流行したパズルで「ルービック・キューブ」があります。6面体の各面を同じ色にそろえるパズルです。最初各面がバラバラであることを見せた後、空中に投げあげると一瞬にして揃います。

:小川心平さんのサイト、MAD MAGIC THEATERへジャンプできます。

魔法都市の住人 マジェイア


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