GIMMIC COIN SERIES

製品名 Locking $1.35 Coin Trick
発売元

Johnson Products(U.S.A.)

価 格 海外では30数ドル
分 類 クロースアップ、コイン

$1.35

1999年4月26日

最初に

トリックコインの専門メーカーであったアメリカのジョンソン・プロダクツの製品です。 現在、ジョンション・プロダクツはトリックコインの製造をやめているため、この製品がどうなっているのか不明です。しかし、大抵のマジックショップには在庫があると思います。

現物を見たことのある人ならわかると思いますが、大変精巧にできています。ネタはよくできているのですが、現象があまりおもしろくないので、マニアでも買っていないか、持っていても一度も人前で実演したことがない人が大半でしょう。

日本ではテンヨーが昔から売っています。海外では、現在でもおそらく30数ドルで販売されていますから、テンヨーの15,000円という値段はちょっと高すぎます。製造元のジョンソンが今は作っていませんので、海外でもこれから値上がりする可能性はあります。

最近、ある本の中に、これを使ったマジックが載っていましたので、それも一緒に紹介します。

現象

最初に、昔からある一番普通の現象を紹介します。

ポケットか小銭入れから、4枚のコインを取り出します。アメリカのダイム(10セント硬貨)が1枚、クォーター(25セント硬貨)が1枚、ハーフ(50セント硬貨)が2枚です。取り出したコインはテーブルの上に一列に並べます。

まず1枚のハーフを取り上げ、左手に握ります。順に、一枚ずつ左手の中に入れて行きます。4枚握ったところで、合計してもらうといくらになるでしょう。1ドル35セントですね。左手からハーフを一枚取り出し、テーブルの上に置くか、観客に持ってもらいます。今、左手にはいくら残っているでしょう。算数の出来る観客なら、「85セント」と答えてくれます。マジシャンが左手を開けると、コインは1枚もありません。残っていたはずの3枚は跡形もなく消えています。

この計算は、ダイムやクォーターになじみのない日本人には無理でしょう。そのときは、金額は無視して、枚数だけを確認してもらえば十分です。

 

コメント

ざっと以上が基本の現象です。要するに、4枚のコインを左手に握り、そこから1枚取り除いたら、3枚残っているはずなのに、その3枚が消えているというマジックです。

マニアがこれに満足できないのは、4枚握ったあと、1枚抜き出さなければならないからです。4枚握ったままで手を開き、それで4枚とも消えていたらやってみたいマジックになるでしょう。

実際、このマジックではハーフダラーを1枚処理できる能力、つまり、1枚のハーフダラーを何らかの方法で完全に消してしまえるのなら、4枚とも一度に消すことが出来ます。

これはそれほど難しくないはずです。状況によってはラッピングやスリービング、その他ワックスで処理する方法やトピットを使うことなどもマニアであればすぐに思いつくはずです。ところが、このような処理が出来る腕がある人なら、このようなトリックコインはやる気がしないでしょう。

Sid Fleischman"The Charlatan's Handbook"(初版は1993年、現在 L&L Publishingから出ています)を読んでいると、"The World Famous Coin Swallwing Act"という名前で、コインを飲み込む演出が載っていました。

昔のカー二バールの芸人には、ガソリンを飲んで口から火を噴く人や、ガラスをかみ砕いて食べてしまう人、自転車を一台、食べてしまう人など、常識では考えられないような芸を見せる人がいました。日本の古い手品の本、『放下筌』(ほうかせん:1750年頃)に「鍋かじりの術」として、金属製の釜を丸ごとかじって食べてしまう芸が載っているそうです。熱を加えると柔らかくなる金属で作っておき、表面に特殊な油を塗っておくと、食べてもしばらくしたら胸が悪くなり、胃の中のものを全部吐き出すから大丈夫だそうです。何が大丈夫なのかわかりませんが、命がけの芸であることは間違いありません。自転車を丸ごと食べるのは外国の人ですが、この人も最後は胃やら腸に穴が空いて亡くなったそうですから、真似はしないでください。

ガラスのコップを食べる芸も、事前に焼き芋を食べておくと、胃の中でガラスの破片が芋に刺さり、翌朝、便と一緒に一緒に出るのだそうですが、「切れ痔」になりそうですから(汗)、これも絶対真似しないでくださいよ。

日本でも海外でも、常識外のものを食べてみせる「悪食(あくじき)」が芸になっていたようです。

"The World Famous Coin Swallwing Act"もコインを飲み込む芸です。

ポケットから数枚のコインを取り出します。先の「現象」で説明したのと同じ組み合わせのコインを取り出し、「悪食の芸」がカーニバル等で実際にあったことを説明します。コインを食べる芸を今練習していると話し、何とかハーフダラーを1枚くらいなら食べても平気になったが、今日はこの4枚に挑戦すると宣言します。左手に4枚のコインを握ってから、いっぺんに飲み込もうとしますが、やはり少し不安なので、ハーフダラーを一枚取りだし、これは観客に持っていてもらいます。残っている3枚を口に放り込み、いっぺんに飲み込んでしまいます。手には何も残っていません。

ちょっと変わったマジックでしょう?(笑)これも実演する気にはなりませんが、何とか4枚いっぺんに消すことは出来ないかと考えていると、石田天海師の1枚のハーフダラーをメモ用紙程度の紙に包み、最後はライターで火をつけると、ハーフダラーも一緒に燃えてしまったかのように消えるマジックがあります。

これにこのネタを使えば、4枚のコインを一度に消すことが出来るので、悪くないはずです。天海師の方法は大変巧妙ですが、難しいので、ごく一般的に行われているような方法、何かの紙にコインを包んで消すような方法を知っているのなら、それでも構いません。フラッシュペーパで作った袋なら、一瞬にして燃え上がりますから効果的でしょう。

即席でやるのなら、新幹線の列車の中にある、水を飲むとき使う使い捨ての小さな紙の袋が便利かもしれません。あの袋の底にでもスリットを入れておき、ライターを取りに行くとき、処理すれば難しくないはずです。

 

魔法都市の住人 マジェイア <


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