最初に

1988年頃発売されたメンタルマジックです。昔からある二つの原理をうまく使うことで、両方とも知っている人でも引っかかります。日本では東京マジックが販売していました。

現象

一枚のカードに、アルファベットが大きく一文字ずつ字書いてある「ＡＢＣカード」があります。このようなカードが数十枚あります。裏は黒一色ですから、裏向きにカードを置くと、表の文字が何なのか、まったくわかりません。

このカードを使い、５文字からなる英単語をひとつ作ってもらいます。サンプルとして、32種類の単語が印刷してあるカードがあります。５文字に統一してあるのは、文字数の差による情報を排除するためです。この32種類の中から、適当にひとつ単語を選んでもらい、その単語を「ＡＢＣカード」で作ってもらいます。この間、マジシャンは目隠しをしているか、部屋から出ていてもかまいません。

観客が単語を作ったら、各カードをその場所で裏向きにしてもらいます。裏向きの状態で、５枚のカードが並んでいます。マジシャンが部屋から出ているのであれば、ここで部屋に入ってきます。入ってきてから、さらにマフラーのようなもので目隠しをしてもかまいません。

マジシャンは、細長いクロースアップマットを取り出し、テーブルの上に広げます。その上に、裏向きのまま５枚のカードを乗せて行きます。置いたら、上から手をかざし、一枚、一枚、カードを裏から読みとって行きます。最後は、観客の作った単語を完全に言い当てることができます。

最後に一言

これは最初にも書きましたように、二つ原理を使っています。一つは「数理」なのですが、「数理もの」特有のにおいがまったく感じられません。私自身は原理に感心したものの、現象自体はあまりおもしろくもないと思っていたのです。しかし実際にやってみると、予想外に観客は驚きました。これは、ひとつは裏向きにしたとき、全部が真っ黒なカードですから、裏からは絶対情報が得られないことがわかるからでしょうか。もう少し懲りたければ、このカードがちょうど入るくらいの、小さな封筒を５枚用意して、一枚ずつ封筒に入れてから並べてもらってもかまいません。この状態で、さらに目隠しをしても当たります。観客はカードやマットをいくら調べてもかまいません。

値段は、発売された1988年頃で32ドルですから、精巧な機械を使ったものではありません。大変シンプルな原理です。

★：現在は、これは絶版になっているのかもしれません。最新のハンク・リーのカタログからは消えていました。

魔法都市の住人　マジェイア

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