製品名 |
Automatic
Thimbles Movie
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演 者 | Steve Sheraton |
価 格 | シンブルとのフルセットで$39.85 |
発行日 | 1998年 |
販売元 | Creative Enterprise |
時間 | 約35分 |
1999年2月23日
最初に
「シンブル」(Thimble)というのは、西洋の人が裁縫のとき、指にはめて使うに使う道具です。日本の「指ぬき」にあたるものです。
上の写真で、左にあるのが実物です。普通は金属でできていますが、陶器でできたものや革製のものもあります。
これは西洋ではごく日常的な道具なのですが、日本でマジックをやっている人は、「シンブル」というと、マジックのためにだけある道具だと思っている人がかなりの割合でいます。実際、日本のマジックショップで販売されているものは写真の中央に写っているタイプのものです。マジックショップで販売されてはいますが、これ自体には何も仕掛けはありません。ただのプラスチックできた鉛筆のキャップのようなものです。これを指の先につけると、「消失」「出現」「増加」「減少」「変色」「変化」といった、マジックにおける様々な現象が起こせます。
これ自体にはタネはありませんので、すべて指先のテクニックで行うため、手練奇術の代表的なもののひとつになっています。アマチュアのマジッククラブや大学の奇術部の発表会では定番のひとつです。
不思議なことに、これは海外ではほとんど研究されていません。むしろ日本のほうが進んでいます。海外のプロマジシャンで、これをレパートリーにしている人はごく限られています。マニアの間でよく知られているのは、数年前に亡くなったプロマジシャン、ジミー忍氏でしょう。シンブルの先から炎を出して燃え上がる「ファイアーシンブル」を使った手順です。これは私も何度か見ましたが、ジミー・忍氏の雰囲気とも合った、大変幻想的ですばらしいものでした。
とは言え、プロが演じるには少し地味な芸なので、海外ではこれをレパートリーにしている人はほとんどいないのでしょう。
英文の専門書などもきわめて少なく、日本でも雑誌『不思議Vol.2, No.6』(1983年発行)や、日本奇術連盟が題している解説書『シンブル』(1964年)、等、ごく限られたものしかありません。
私のようにクロース・アップ・マジックが専門のものにとっては、ステージで行われているアクロバットのようなシンブルのマジックを見ていると、いったいどんな原理で「色変わり」やプロダクションが行われているのか、見当もつきません。今回、海外ではめずらしく、シンブルのビデオが発売されました。スイスのメーカー、クリエイティブ・エンタープライズ社です。
内容
"AUTOMATIC THIMBELS"という名前で販売されています。 「白の4本セット」、「赤、白、緑、青の4色がセット」(実際はどちらもシェルになっているので、かぶせると2本になります)
上の写真に写っている、右端の白いものが現物です。
これと同時にビデオも発売されました。それぞれバラでも販売していますが、買うのならこの3つをまとめて購入することをおすすめします。まとめて買えば$39.85です。(1999年2月現在)
今までシンブルを練習したことがなくても、このビデオを見ながらやれば、比較的簡単にシェルのついたシンブルなどが扱えるようになります。手を完全に広げて、1本しかないことを観客に見せた後、手を一振りするだけで、シンブルが分裂して2本に増えるところなど、タネを知っていても驚きます。
また、ここの会社が出している「サム・アップ」という柔らかい「サムチップ」がありますが、これを併用することで、大変ビジュアルな「出現」などもあります。
コメント
海外では、一般的な金属のシンブルを使った手順として、ジョン・ラムゼイの"Five Thimbles Productions"(The Ramsay Finale)やVernon Bookに載っているポール・ロッシーニの"Impromptu Thimble Routine"などがあります。
Creative Enterpriseのサイトにジャンプできます。