製品名 |
Eye in the Sky |
販売元 | KRIS Entertainment, Inc.(Tokyo,JAPAN) |
考案者 | 豊田聡 |
価 格 | 5040円(税込み) |
分 類 | クロースアップ、カード、メンタル |
2005年4月8日
最初に
斬新なアイディアのマジックを数多く考案しておられる豊田聡氏の作品です。これは数年前に商品化されていたようですが、海外での発売を中心に企画されていたため、日本ではほとんど知られていないと思います。
「超魔術」風に演じるのであれば、細かい演出やセリフが重要になってくるのですが、ざっとアウトラインの現象を紹介します
現象厚紙でできた箱から透明なプラスチックケースを取り出します。ケースの中にはリボンで結ばれたトランプ、ペン、メモ用紙が入っています。
ケースからトランプなどすべてを取り出し、リボンをほどきます。トランプの表を見せて、普通のトランプであることを確認してもらってから観客に手渡し、よく切り混ぜてもらいます。そして裏向きにテーブルの上にいったん置きます。ここでマジシャンは後ろを向きます。
以下の動作はすべて術者が後ろを向いている間に、観客にしてもらうことです。
観客にデックの半分くらいを持ち上げてもらい、先ほどの透明なケースに入れてもらいます。残っているトランプのトップカードを覚えてもらい、そこにサインをしてもらいます。そのトランプも裏向きにして、ケースの中に入れます。残っているトランプを一度よくシャッフルしてもらってから、それもケースに入れます。そしてふたをしてもらいます。観客にケースを持ち上げてもらい、よく振ってもらいます。
術者はここで正面に向き直り、ケースを厚紙でできた小箱に入れます。つづいてメモ用紙とペンを取りあげ、観客に見えないように何かを書いてから、そのメモを伏せてテーブルの上に置きます。再び先ほどの小箱からトランプを取り出し、サインのあるカードを探します。見つかったらそれを抜き出し、メモを見せると一致しています。
観客にやってもらう動作をかなり正確に記述しましたので、読んでいて少々うっとうしいと感じたかも知れません。しかしある程度マジックをやっている方であれば、上記のような動作の中で、観客のカードの名前を知ることは不可能だとわかると思います。
コメント
このマジックは現象だけを手短に言ってしまえば、観客にとってもらった1枚のトランプを当てるというマジックになってしまうでしょう。大層な手続きなど踏まなくても、さっさと当てたらいいのにと思うかも知れません。
一般の人に見せるのであればもっと簡潔で、十分不思議なカードマジックはいくらでもあるため、このような面倒なことをする気にはなれないかも知れません。しかし私がこのマジックで驚いたのは原理の部分です。詳しく書くとタネに関係するあたりまで触れることになるため、はっきりと言えないのがどうにももどかしいのですが、私が知っている限りでは、このようよう手段で観客のカードを知るというのは他にはありません。逆の手段、と言っても何のことかわからないと思いますが、仕掛けがあると思う方に仕掛けがなく、仕掛けがないと思うほうに仕掛けがある……、どう表現をしてもかなり微妙な言い回しになってしまいますが、とにかくその原理に興味を引かれたのです。
基本的な原理は豊田聡氏の考案になりますが、ゆうきとも氏や角矢幸繁氏なども手順構成にアドバイスされているようですので、かなりのものに仕上がっていると思います。どちらかと言えば、ある程度マジックをやっている人に見せた方が一層驚くと思います。
これだけおもしろい原理なのに、これがいままでほとんど知られなかったのは、豊田氏の素晴らしいアイデアを特許のつもりで保存するため商品化したにすぎず、売って儲けたいという意思がなかったからだそうです。現在もUGMに在庫があるか不明ですが、発売元のKRIS Entertainment,Inc.と豊田さんの手元にはまだ少し在庫があるようです。
★最後にこのマジックのタイトル"Eye in the Sky"というのは、ラスベガスのカジノにある隠しカメラのことだそうです。天井から隠しカメラを使って、ディーラーが不正をしないか終始チェックしています。このマジックもそれと関係があるのかないのか、何とも意味深なタイトルです。