ビデオ紹介

製品名
Guy Hollingworth
in the London Collection
演 者Guy Hollingworth
価 格$42.50
発行日1996年
その他Stevens Magic Emporium で購入できます。

 

1997年7月11日

最初に

昨年(96年)の3月に、ガイ・ホリングワースは日本に来ました。そのとき、このビデオは制作中で、一ヶ月ほどして完成したビデオを送ってきてくれました。それが今回、世界的な販売ルートで売り出されました。

カードマジックの分野で、久しぶりに出た大型新人です。 アイディア、センス、テクニックのどれをとってもすばらしく、パーソナリティやキャラクターも落ち着いた好感のもてる青年です。

カードマジックだけのレクチャーというと、最近は3つも見たら眠くなるか、どうでもよくなってくるのに、彼のレクチャーではそのようなこともなく、最後まで楽しめました。 このビデオの中で演じているものも、どれもすばらしいものばかりです。 簡単ではありませんが、カードマジックが好きなら強くお薦めします。

彼は工業デザインを勉強している学生で、マジックはあくまで趣味の範囲でやっていきたいそうです。確かにカーディシャンで食べて行くのは大変ですから、趣味として、自由にマジックと取り組める環境で続けたほうが、彼のためにも、マジックファンのためにもよいと思います。

最近のビデオには珍しく、モノクロの画像です。古き良き時代のロンドンに人一倍こだわりがあるようで、夜のロンドン市内の街角で、ちょっと立ち止まりマジックを見せてくれます。

内容を紹介しましょう

7種類のオリジナルカードマジックを演じています。

レクチャーのときにも感じたことですが、このビデオを見て彼のマジック全体に流れているのは、ビジュアルということと、フェアーに見えるということです。 この程度で、一般の人は気がつかないだろうというような妥協がありません。ある現象を作り出すために、技法の難易度が上がっても、完璧にこなすことで達成しています。

1.Waving the Aces

お馴染み、ヴァーノンのTwisting Acesの驚嘆ヴァージョン。
4枚のキングが一枚ずつひっくる返る。
エルムズレイカウントを使わず、はっきり示すことができる。
最後はファンにしたままで軽く振ると、一枚がひっくり返る。この部分は、はじめて見ると信じられないくらい鮮やか!

参考
The Optical Toss, Larry Jennings
Vernon Addition, Dai Vernon
Card Reverse, Hugard

2.Waves of Water

「オイル&ウォーター」のバリエーション。
水と油は、混ぜても上下に分離するように、カードでそのような現象を見せる。
3枚の赤い数字のカードと3枚の黒い絵札を一枚おきに混ぜるが、赤と黒に分離する。

参考
The Optical Toss, Larry Jennings
Oil & Water, Jennings & Vernon
Oil & Water, Katakura
Angle Separation, Lennart Green

3.Ambidextrous Interchange

4枚のエースを一枚ずつ、上着の内ポケットや外ポケット、スラックスのポケットなど、4つのポケットにバラバラに入れる。
手には4枚のキングを持っている。このキングが一枚ずつ、ビジュアルにエースに変化する。最後はキングが4カ所のポケットから出てくる。

参考技法
Lateral Palm , Steranko
Miracle Change, Marlo
Ghost Count, Elmsley
Snap Change
Ambidextrous Travellers, Jennigs

4. Selling Fridges

基本的な現象は、バラバラに置いた4枚のエースがひとつのパケットに集まるという、フォーエイセスアセンブリーである。それが3段からなっている。

参考

Theme:Ernest Earick
Double Deal, Rosenthal
Switch Addition
Transfer, Vernon
Revolving Palm, Tenkai
Mechanical Reverse , Krenzel

5. L'Arc de Triomphe

立ったままで、テーブルなしでできるトライアンフ現象。
選んでもらったカードをデックに戻し、デックの半分を表向き、残りを裏向きにして、裏と表が混ざるように、シャッフルする。客のカード以外、すべて裏向きになる。
もう一度やると、同じ数字の4枚が集まる。

参考

Triumph, Vernon
Mechanical Reverse, Krenzel
Depth Illusion, Vernon, Var, Daryl

6. The Easy Way Home

基本の現象はホーミングカード。
5枚の赤い数字のカードを使ってマジックを見せるという演出で始まる。5枚のカードを広げると、1枚、何かの間違いで絵札が混ざっている。
このカードをゴミ箱に捨てて、もう一度最初からやり直すが、捨てた絵札がまた手元に戻ってくる。カードは減って行くのに、絵札はしつっこく戻ってくる。最後は1枚になるまでやるが、それでも絵札が戻ってくる。

クレジットにもあるように、フレッド・カップスもこれをやっている。私はカップスの演技をビデオで見たことがあるので、さすがにこれは見劣りする。

技術的には完璧なのだが、捨てても捨てても、余分なカードがもどってくると言う表現が、カップスの場合、大変よくわかる。
また、その予期せぬ現象にマジシャンが自身が驚くことで、客席からも自然な笑いが起こる。カップスが演じると、不思議さとおかしさが混ざった、とても楽しい演技になる。

ガイの場合、今回のビデオでは観客がいない状況で見せているので、そのあたりのやりとりがない分だけ損をしている。彼が実際にこれを観客の前でみせるときはどのような演技をしているのか見たい。

参考

Homing Card, Carlyle, Kaps
Miracle Change, Marlo

7.New Material

4枚のエースをデックの中にバラバラに押し込む。このデックを上着の左ポケットに入れる。 ジャケットの左を広げて、観客に内側を見せる。ポケットのちょうど裏あたりに手を持って行き、生地を貫通させてエースを一枚ずつ抜き出す。
3枚抜き出した後、4枚目はデック全体が抜けてくる! ポケットを見ると、最後の1枚のエースだけが残っている。

参考

Phonix Aces, Cliff Green
Multiple Shift
Flurish Steal, Kurtz
One hand colour change

最初に約19分間、現象だけを見せてくれます。その後1時間以上かけて解説しています。

最後に一言

ビデオの箱に、「ここで解説されているマジックの多くは技術とかなりの練習を必要とします」と明記されています。

実際、どれも簡単ではありません。しかし、無茶な技法やできない技法は使っていません。

彼のセンスは本物です。改案がちゃんと改案になっています。世の中には改案と称する改悪が反乱していますが、これはそのようなことはありません。彼のセンスで作り替えられたものは、テクニカルな面ではオリジナルよりも難しくなっていても、現象面ではすっきりとしており、実際に彼がやれば、マニアが見ても、とても不思議に見えます。
私もほとんどのトリックにひっかかりました。

魔法都市の住人 マジェイア

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