製品名 | メンタルマジック事典 |
著 者 | 松田道弘 |
出版社 | 東京堂出版 |
価 格 | 2,900円(税別) |
発行日 | 1997年 |
分類 | メンタルマジック |
最初に 日本で初めての本格的な「メンタル・マジック」の本が出ました。メンタル・マジックというのは、今ではマジックの中でも、ひとつの大きなジャンルを形成するほど発展している分野です。いわゆる「超能力的演出」で見せるマジックの総称です。 「スプーン曲げ」、「念写」、「透視」、「念力」といったような現象は、職業霊媒師やそれに類する人達が、顧客に、自分には不思議な力があるのだということを暗に示すときによく用います。知らなければ、本物の超能力としか思えないことも、実際は大変合理的な手段で行えます。 断っておきますが、私は超能力があるかないかといったようなことには何の興味ありません。あっても全然不思議ではないと思っています。ただ、今まで私が見てきた数多くの「超能力」と称されているものは99%マジックです。残りの1%が本物というわけではありません。TV等の画面だけでは判定不能なだけです。実際はそれも間違いなく、マジックです。 この種のマジックを見せられると、原理を知らない人には本当にこの世の中には「超能力」が存在すると思ってしまっても不思議ではありません。 マジックだとわかっていたら、テレビの中で人間が浮かんでもゾウが浮かんでもそれほど不思議だと思わないでしょう。しかし、「超能力」という演出で、観客の目の前でマッチの軸が一本浮かんだらどうでしょう。このほうが、舞台でゾウが浮かぶより、観客に与えるインパクトは強烈です。 また、こんな例はどうでしょう。あなたがある霊媒師のもとへ初めて行きました。その人と会うのはまったく今回が初めてです。事前に何の連絡もしていません。そして、ずいぶん昔に亡くなった、あなたのおじいさんの霊を呼び出して欲しいと頼んだとしましょう。すると、その霊媒師が、おじいさんの亡くなった正確な年月日をずばりと言ったとしたら驚きませんか? これはアメリカの霊媒師が客を信用させるのに、よく利用している方法です。これは"Hot
Reading"というある方法を使うのですが、大変効果的な方法です。 松田さんが、メンタルマジックの本を出版されるとき、一番懸念されたのがこの点です。 Mr.マリックも、マリックブームの最初の頃、これはマジックではなく超能力だと言ってやっていました。途中から引っ込みがつかなくなり、「超魔術」という新語を作って、なんとかくりぬけていました。 この種のマジックは、エンターテインメントとして楽しむことを忘れないでください。 内容を紹介しましょう 前書きにもあったように、大きく、1部と2部に分かれています。 第1部はメンタルマジックによく出てくる語彙の解説です。ここを読むだけでもメンタルマジックの基礎は一度に要領よくマスターできます。もしあなたがメンタルマジックが好きで、洋書などでメンタルマジックの本を読みたいと思っておられるのなら、この用語を知っているだけで、今まで洋書など読んだことがなくても、たいした困難もなく読み進めると思います。事典の部分は、読み物としてもおもしろいので、一度、全部、通してお読みになることをお勧めします。 第2部は実技編で、有名なメンタルマジックが解説されています。タイトルだけ紹介しておきます。 読心術トリック 炎の読心術をめぐって(センター・テア) プリンセス・カード・トリックのあの手この手 偶然の一致を演出する Do as I do トリックをめぐって 予言トリック 刑事コロンボの予知能力 数理応用のメンタルマジック ナイトの飛行 PKトリック2題 赤松洋一のPKモータ メンタルマジックのルーティン スカーニーの読心術トリック すでにクラシックになっているものもありますが、どれも傑作ばかりです。 マジックの解説、とりわけメンタルマジックの場合、現象を見る前に解説を読んでしまうと、こんなものが不思議に見えるとは思えないものがたくさんあります。でも実際にやってみると、その効果は信じられないほどです。この中の、どのトリックも、あなたがマジックをやると言うことを知らない人に、それなりの演出で見せたら、あなたのことを本物の超能力者と思っても無理はありません。もしここにあるものをMr.マリックがやれば、どれも超一級のネタであることがわかるでしょう。 この本の最後に、「メンタルマジック20選」と題して、松田さんのお好きなメンタルマジックが20紹介されています。これには種明かしはありませんが、出典等は明記されていますので、興味のある方はぜひチェックされることをおすすめします。 ここに載っているものを数個マスターすれば、誰でも即座にメンタリストになれます。この中には、私も好きで、普段からよくやっているものも、数点入っています。 最後に一言 適切な演出で行われたメンタルマジックは、"Sleight of hand"( スライハンド:手先のテクニック)を駆使したマジックでは得られないような大きな反応が返ってきます。 最初に触れたように、悪用しようと思えばいくらでもできてしまいます。それくらいメンタルマジックにはパワーがあります。くれぐれも悪用しないでください。
|