書名 | スクールマジック |
著者 | ヒロ・サカイ |
出版社 | 東京堂出版 |
価 格 | 2,400円(税別) |
ページ | 206ページ |
ISBN | 4-490-20493-0 |
分類 | スクール パーラー クロースアップ |
2003年4月2日
プロマジシャン、ヒロ・サカイさんの本です。
幼稚園や小学校のクラス会のように、数十名程度の観客がいる場で演じるにはピッタリのマジックが数多く解説されています。小さい子供だけでなく、少し演出やセリフを変えれば大人が相手であっても十分楽しんでいただけると思います。
小さい子供を対象としたマジックといっても、私も知らなかったマジックがいくつかありました。例えば「噴水コップ」です。これは紙コップの中に水を入れて、下から扇子で扇ぐと、中に入れた水が噴水のように吹き上がってきます。超簡易版「水芸」として、暑い季節にはうけると思います。
「キャンディメーカー」は、細かく千切った折り紙を空の紙袋に入れると、キャンディになって出てきます。かなりの量のキャンディを出せますので、出てきたお菓子を子供達にプレゼントすると喜ばれるでしょう。
またマジシャンならたいてい知っているマジックに、「赤白ロープの入れ替わり」があります。紅白2本のロープをそれぞれ輪のようにしておき、指先に引っかけて引っ張ると、紅白のロープの位置が入れ替わる例のマジックです。これは技術も不要で、自動的にできてしまうため、ある程度マジックをやっている人であれば簡単過ぎて演じる気にもならないでしょう。しかし私の知人が、ヒロ・サカイさんがこれを演じるのを見たとき、その場にいた観客の反応は想像を絶するものであったと言っていました。観客がこれほど驚くなんて、思いもしなかったそうです。
別の知人は、もう少し大きいループを作り、新郎の腕に引っかけて、結婚式で演じると言っていました。
クロースアップマジックも、これまで私が知らなかったものがいくつか紹介されています。いずれもヒロ・サカイさんのセンスが加味され、一味違うため、マニアでもこれならやってみたいと思うはずです。
この本の「まえがき」にあったいくつかの注意事項もなかなかのものです。なかでも、「子供達の前でマジックを演じる時には、絶対に失敗しないで欲しいのです」という一文は肝に銘じておく必要があると思います。大人が相手であれば、素人マジシャンが失敗したところで、それはそれで場は盛り上がるものです。しかし小さい子供が観客のときは絶対に失敗は許されません。
子供は不思議な現象に対して素直に反応してくれます。そしてそのときの驚きは、演者が想像している以上に後々まで記憶に残ります。うまくいったときは素直に反応してくれるだけに、失敗したときは落胆に直結します。ふだんにも増して、小さい子供が相手のときはしっかり練習してから演じるようにというアドバイスをを厳守してください。
また、演じる前に、子供達にマジックを見るときのマナーについて一言触れておくというのも大切なアドバイスです。マジシャンのところに駆け寄ってきたり、道具に触れたりしないよう、子供達にお願いしておくことはとてもよいことだと思います。