製品情報

 

製品名 Wiregrams
ワイヤグラム
価 格 2,800円

購入先

東京マジック
分 類 針金、カード

7 of Diamonds

2000年4月24日


最初に

マジックの世界にも様々な新しい素材が取り入れられています。電気仕掛けのもの、紙おむつに使われている吸湿材、その他色々と出回っています。実験材料を扱っている店に行けば、マジックに使えそうなものが数多くありますが、新奇であるというだけで飛びついても、実際にマジックとして使えるものではありません。その素材の特徴を気づかれないように使用しないと、マジックというより科学の実験になってしまいます。

この「ワイヤグラム」は今から10年近く前に売り出されたものです 。そのような新しい素材の例として、紹介しておきます。

現象

針金をコイル状に巻いたものがあります。一組のトランプから1枚カードを取ってもらい、覚えてもらいます。

マジシャンは5センチ角程度の白い紙で針金を包みます。紙に火をつけると一瞬にして燃え上がり、中から先ほどの針金が出てきます。出てきた針金を見ると、相手の覚えたカードを示すように、数字とマークが出来上がっています。上の写真では「ダイヤの7」が観客の覚えたカードでしたので、「7」と「ダイヤ」ができています。

コメント

他の見せ方としては、針金を熱いコーヒーやお茶の中に入れて、取り出してもらうと相手の覚えたカードの形になって出てくるという見せ方もできます。

原理はすぐにわかると思います。形状記憶合金を使っているだけですので、マジックとしてはそれほどおもしろいものではありません。本当にこのような素材を使いたいのであれば、火をつけたり、熱湯につけたりせずに、熱が外部から加えられているのがわからないようにするべきです。それならマジックになります。

1970年代半ば、日本中にスプーン曲げブームがあったとき、某「超能力」少年がスプーン曲げとならんで、針金を曲げる「芸」もやっていました。まっすぐな針金を投げると、床に落ちたとき針金が飛行機の形や三角形、星形、花びらのような形になっていました。この少年の方法は芸とも呼べないような稚拙なものでした。そのようなものでも、本物の超能力と信じた人が続出しました。某有名作家や学者などがお座敷にこの少年を呼び、生で見せてもらい、ひどく感激していましたから、信じたい人にとっては何でも超能力になってしまいます。

当時からこの金属はあったのですが、これがマジックの商品として販売されたのは10年くらい前のことです。これを使えばこの少年の芸も、もう少しはましなものになっていたでしょう。さすがにあのレベルでは長くは続きません。『週間朝日』が分解写真を撮るためにスタジオでこの少年に実演してもらいました。そのときの写真や「残骸」を見ると、マジックのことなどまったく知らない人でも、少年のやり方がわかってしまいました。

「ワイヤグラム」もマジックとしては決しておもしろいものではありません。しかし適当な演出と、熱を加える部分を工夫すれば、それなりのマジックになる可能性はあります。形状記憶合金自体は今では眼鏡のフレームや、女性の下着にも使用されるくらいすっかりなじみのあるものになっています。新奇なものはえてして寿命が短いものです。まだ世間に知られていないときに使えばそれだけで観客を驚かせることもできますが、広く知られてしまえばそれまでです。

この素材でスプーンやフォーク、キーなどを作り、「使い捨てカイロ」などをどこかに隠しておけば、手を触れなくても目の前でスプーンなどを曲げることができますから、売れるかも知れません。まあ、実際はそのような素材を使わなくても、スプーン曲げや切断はいくらでもできますから必要ないでしょうが。

魔法都市の住人 マジェイア


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