製品名 |
ゆうきとも ワイズ・ワークス3 |
出演者 | ゆうきとも |
購入先 | UGM |
価格 | 3,800円 |
販売元 | UGM |
2002年6月23日
最初に
ゆうきともさんの作品集『ワイズワークス3』(ビデオ)が発売されました。
前二作同様、どれもやさしく演じられて、かつマニアが見ても驚くマジックばかりです。以前から、ゆうきともさんの選択眼や改案のセンスはすばらしいと思っていましたが、レクチャラーとしてのセンスも卓越しています。
マジックやギャグに対するセンスはその人の全人格が出るものですから、一朝一夕には如何ともしがたいものです。人に何かを教えるとき、自分ができるだけではつとまりません。習う側が理解しにくいと思う部分を見抜き、適切なアドバイスをできることが優秀な講師としての不可欠な条件です。そのような意味でも、過不足なく、適宜的を射たアドバイスが入っています。
ゆうきともさんは基本的に研究者であるため、全体に知的な雰囲気が漂っているのでしょう。そのような部分も私の好みに合致するのかも知れません。情報量の多さも背景にあるのですが、それだけではこのような雰囲気は出ません。知識をもとにして、常々自分で考えておられるからこそなのだと思っています。
現象
1.ロジカリー・コップ
500円玉と10円玉を使って演じる「ホッピング・ハーフ」です。
「ホッピング・ハーフ」というのは、アメリカのトリックコインメーカー、ジョンソンが昔から売り出しているハーフダラーを使って演じるようになっているギミックコインです。日本でもテンヨーが販売していましたので、ある程度マジックをやっている人であれば知っていると思います。これとほぼ同じような現象が日本のコインで、しかも何の仕掛けもない普通のコインで演じられます。
基本的な現象は500円玉と10円玉をそれぞれ一枚ずつ使います。一枚をポケットに入れ、もう一枚は手に握りますが、いつの間にかまた手の中に戻ってきています。これを2度ほど繰り返したあと、最後はコインが2枚とも消えてしまいます。
導入として、このマジックに入る前にゆうきとも氏がおこなっている「言葉のマジック」も大変おもしろく、私も気に入りました。
2.スペルチェッカー
カードマジックのひとつに、「スペリング・トリック」Spelling Trickと呼ばれるカテゴリーに分類されるものがあります。例えば観客の取ったカードが「クラブの3」であるとします。デックに戻したあとよくシャッフルし、Three of Clubsのつづりにあわせて、デックの一番上からカードを配っていくと、最後の文字、Sを配り終えたところで、「クラブの3」が現れるというものです。
英語のspellという単語には「つづる」という意味のほかに「魔法をかける」という意味もあります。語源は知りませんが、日本でも言霊(ことだま)といい、言葉にして発せられたものには不思議な力があると信じられている古い信仰がありますから、同じようなことかも知れません。
話が逸れましたが、カードの綴りにあわせて配っていくと、観客のカードが現れるものがスペリングトリックと呼ばれるものです。
海外ではそれなりによく演じられるのですが、日本ではあまり人気がありません。理由は、一枚のカードを当てるだけなら他にもいくらでもあるのに、長い手続きを踏むのが面倒であることと、音に合わせて言葉をつづるということがほとんどないからです。「ハートのQ」であっても、これを「はーとのじゅうに」とするのか、「はーとのくいーん」とするのかといったこともあります。また「はーと」のように伸ばす音に使われる「ー」の部分があるとき、それをどうするかといった問題もあります。本当は英語のスペルのままやってしまったほうがずっとすっきりするのですが、これを一般の観客相手に求めるのは無理です。おそらくマジシャンばかりいるような席でやったとしても、最後まで正しくつづれる人は少ないと思います。
このようなことがあるため、日本ではほとんど演じられていません。ここで解説されているものはマジシャンが自分で配ることでそのあたりのトラブルは回避できる点と、何の準備も不用で、演技中におこなうカードコントロールも思いの外、簡単です。5分も練習もすれば、たいていの人はできるでしょう。
またこの手順では、最後に観客のカードが表向きになって現れます。これも観客は驚くと思います。
3.ミディアムディール予言として1枚、ジャンボカードを裏向きで置いておきます。普通のカードを取りだし、よくシャッフルしてもらったあと、そこから観客に選んでもらったカードと予言のカードが一致します。
このマジックの原案者は誰なのか知りませんが、私がマジックを始めたばかりの頃からありましたので、少なくとも40年くらい前からあるのでしょう。最初は商品として販売されていました。ジャンボカードにちょっとした仕掛けがあるのですが、それをレギュラーのジャンボカードでおこなう方法もよく演じられています。ゆうきさんのはネタの部分は原案というか、私が昔、最初に知った方法と同じなのですが、余分なカードの処理が巧妙で、自然にできるようになっています。
4.旧世紀シルク 1,2
「20世紀シルク」と呼ばれるシルクマジックがあります。基本的な現象は、2枚のハンカチを結び、その結び目を透明なグラスに差し込んでおきます。もう一枚、別のハンカチを取りだし、手の中に入れ、おまじないをかけると消えてしまいます。グラスに差し込んだハンカチを引っ張ると、中央に消えたハンカチが結ばれた状態で出現します。
これにも様々な方法があります。今回のは特殊な仕掛けなしで演じられる、即席の「20世紀シルク」です。2種類あり、後半ではつながった3枚のシルクがすべて手の中で消えてしまいます。
5.白ダイスと赤デック
目の刻まれていない白いダイス(実際はただの立方体)を取り出します。観客にサインペンとこの白いダイスを渡して、6面に50以下の2桁の数を書き込んでもらいます。書いてもらう数は適当で構いません。書き終わったら適当に転がして、上に紙コップをかぶせて外から見えないようにしておきます。
マジシャンは一組のトランプを取りだし、観客に渡してよくシャッフルしてもらいます。それを受け取り、一枚のカードを予言として裏向きに抜き出し、テーブルの上に伏せておきます。
先ほどの紙コップを取りあげ、誰にも見えない面、つまりダイスの底になっている面の数を書いた本人に見せます。仮にこれが27とします。デックを取りあげ、27枚目のカードを見てもらうと、それが先ほど抜き出したカードと色も数字も一致しています。
このマジックはマニアが見てもそれなりに不思議なのですが、手続きが長すぎるのが欠点でしょう。実際、私も翌日はどのような現象であったのか思い出せなかったくらいです。
6.いろカチ1、2日本では「色変わりハンカチ」「カメレオンハンカチ」と呼ばれているマジックです。握った手の中に白いシルクを入れていき、下から取り出すと赤いシルクになって出てくる、よく知られている例のマジックです。
現象自体は昔からあるものと同じですが、ギミックの使い方がとても勉強になります。
7.ひもチョキV
切ったロープがまたつながる、お馴染みのマジックですが、いろいろと応用の利く基本的な技法が詳しく解説されています。
ボーナストリック
008
昔からよく知られている「溶けるコイン」です。
財布から銀貨と銅貨を取りだし、観客に選んでもらったコインにハンカチをかぶせ、上からつまんでもらいます。透明なグラスに水を入れ、そこにコインを落としてもらいます。ハンカチの陰になっていますが、観客自身が落とすので、水の中にコインが落ちた音や、底にあたった「カチン」という音も確認できます。
おまじないをかけたあと、ハンカチをとりのぞいてもらうと、グラスの中にコインはありません。まるで水の中に溶けてしまったとしか思えないような現象です。
消えたコインは、財布の中に戻っています。
基本的なネタは昔からありますが、適当なグラスを見つけにくいかも知れません。UGMではこれようのギミックとグラスのセットを2000円で扱っています。
なんだコリャ
「あみだコリャ!」(1000円)というあみだくじを使ったマジックが発売されています。
観客に100円の参加料を払ってもらい、あみだくじのどの道を選択するかで、最大1万円になる可能性もあります。結果は参加者が勝てないようになっています。観客がまったく自由に置いたはずなのに、最後に予言を見せられると、「1回目はあなたは○円を受け取り、2回目はX円を受け取る」となっています。これで観客は驚きます。
ビデオで見ると、絶対欲しくなりますから、これも一緒に注文することをおすすめします。
さらにこのあと、解説はありませんが、「スローモーション4Aces」や「ワイルド・マン・ワイルド」のバリエーションもあります。
魔法都市の住人 マジェイア