筒と風船
2000/3/28
最初にゴムの風船を大きくふくらませて、それに針などを突き刺しても風船が割れないというマジックがあります。即席で演じるものとしては、透明なビニールテープを風船に貼っておき、その部分に細い縫い針で刺しても破裂しないことを利用したものがよく知られています。これは雑誌や子供向きの入門書などでも紹介されていますから、一般の人でも知っている人がかなりの率でいます。これをもう少し本格的にしたものが、昔、テンヨーから「筒と風船」という名前で販売されていました。
現在はPL法の関係で、針を使うものは危ないということもあり、テンヨーでは数年前から製造中止になっているようです。
現象
直径が10センチ、高さが30センチくらいの金属製の筒があります。(上の写真) 観客に調べてもらっても構いません。
細長い風船を取り出し、筒の中に入れてふくらませます。風船は筒の上下からはみ出し、太さは筒いっぱいにふくらみます。
そこに長さが20センチ程度の火箸のような金属の針を、筒の真横あたりから突き刺します。針は筒の反対側から出てきます。火箸くらいある太い針ですし、風船もその場で膨らませますから事前にテープなどを貼っておくことはできません。針を2本、突き刺し、刺さった状態で筒の中を覗いてもらうと、風船を通して2本の針が中央でクロスしているのが見えます。それでも風船は割れません。
コメント
1960年代前半に購入したネタです。今から思えば現象の割にはたいそう大げさなネタです。当時で2,000円前後していたと思います。
これがマジックショップの店頭から消えたのは、PL法の関係ばかりでもなさそうです。最近は新しい素材のゴム風船が開発され、筒なしで、直接火箸のような太くて長い針を刺しても割れないものが販売されています。
また、つい最近、マジックショップ、ミスター・マジシャンから届いたカタログ(2000年3月)に載っていた「バルーン・バン・ボックス」(11,000円)も購入しました。左の写真に写っているものです。実際は、青い風船は箱の中に入っています。ちょっと変わった演出なので、これもついでに紹介しておきます。
縦横高さが30センチ程度の紙製の箱に、ほぼ箱いっぱいになるくらいの大きな風船を箱に入れます。箱の前後左右から、長さが40センチくらいの針を4,5本突き刺します。ステージのマジックで、箱の中に女性が入り、それに剣を突き刺してゆくイリュージョンがありますが、それの風船版です。
最初の数本はうまく針が刺さったのに、最後の1本を刺したとたん「バーン」という大きな音がして、箱の中の風船が割れてしまいます。マジシャンは慌てて別の風船をポケットから取り出してやり直そうとしますが、あいにく予備の風船はありません。仕方がないので針を抜き、箱を片づけようとすると、箱の中で風船が復活しています。 要するに風船の復活現象です。
今までの現象を知っていると、意外性はあると思います。おもしろいかどうかは何とも言えません。ただ、私は風船を使うマジックはどうにも好きになれません。破裂しそうで、恐ろしいのです。