FARKY
HOLLIS
PREDICTS
2000/4/16
最初にこれは1972年にアメリカで売り出されたネタです。確かフランク・ガルシアが売り出したのだと思うのですが、知人からもらったものなので、値段もよくわかりません。解説書もなかったため、オリジナルの演出がどのようなものか不明です。以下の演出は私が作ったものです。
現象
テーブルの上に、「ファーキー・ホリス・プレディクツ」(FARKY HOLLIS PREDICTS)と書いてある二つ折りの黒いノートのようなものを置きます。(上の写真) 観客に次のように説明します。
あなたは占いを信じますか?信じても信じなくてもよいのですが、昔から「当たるも八卦(はっけ)、当たらぬも八卦」と言われていますように、せいぜい5割も当たれば上出来です。今ここに二人の占い師がいるとします。一人は当たる確率が7割もある高名な占い師です。もう一人は2割しか当たりません。このようなとき、あなたなら二人のどちらに占ってもらいますか?
たいていの人は7割当たる占い師に占ってもらいたいでしょう。しかしある国の王様はいつも2割しか当たらない占い師を宮殿に呼んで、占ってもらっていました。周りの人は、なぜそのような当たらない占い師を王様が気に入っているのか不思議に思っていたのです。実は王様はその占い師が言ったことの反対をやっていたのです。2割しか当たらないのですから、言われた反対のことをやれば8割当たるというわけです。
あなたはこの理屈に納得しますか?ここにある、黒い紙でできた「予言の書」は、当たる確率が2割どころか、1/52しかない占い師が残していったものです。52回占えば51回はずれます。しかし、これだけはずすのは逆に難しいと思いませんか?ルーレットで赤か黒かの2種類に賭けるものがありますね。あれだって意識的にはずすのは当てるのと同じくらい難しいものです。はずそうと思ってもはずせるものではありません。
52回中、51回もはずすというのは一種の才能と言ってもよいかも知れません。この「予言の書」は、そのようなはずすことで有名な預言者が残していったものです。一度試してみましょう。
トランプを一組使います。あなたが取るカードは、すでにこの書に予言されているらしいのです。でも当たるのは1/52ですから、たいていはずれると思います。
とにかく一度やってみましょう。
トランプをよくシャッフルして、観客に1枚取ってもらい、覚えてもらいます。観客の覚えたカードは「クラブの4」でした。
先ほどの「予言の書」を中央から開くと、そこには観客の覚えたトランプが予言されているはずです。開いてみると、下の写真のように数多くの数字やスーツ(トランプのマーク)が印刷されています。
「この中にありますか?」
これだけたくさんの数字やスーツが印刷されているのですから、覚えたカードの数字やスーツがあって当然でしょう。ところがよく探してみると、不思議なことにこれだけあるのに、観客の覚えたトランプの数字がありません。
観客が「ない」と言ったら、その紙を中央から広げると、今度は小さなトランプが数多く印刷されているページが出てきます。 (下の写真)
この中には絶対あるはずです。ところがこの中にも「ない」と観客は言います。52枚全部印刷されているはずなのに、観客の覚えたカードがないことが信じられません。でもよく見ると、確かに一枚だけ印刷が抜けています。不運にもその抜けているところが観客の覚えたものだったのでしょうか。さすがに当たる確率が1/52の占い師です。51枚「予言」してもはずすなんてたいしたものだと思うでしょう?でも、これであなたのカードが何かわかりましたね。
さらに中央から開いてみると、下の写真のように、1枚だけ大きく印刷されたカードが出てきます。それがズバリ、観客のカードです。
51枚は、はずれていましたが、最後の52枚目に無事あなたのカードを予言していたようです。
コメント
この「予言の書」は、特殊な折り方になっています。おもちゃで、パタパタと開くたびに模様が変わる本のようなものがありました。それと同じような構造になっています。
補足
この「予言の書」の裏には、ある二桁の数字がふたつ、唐突に印刷されています。
デビッド・ブレインのマジックをテレビで見た方は知っていると思いますが、観客に二桁の数字を思ってもらい、それを読心術で当てるマジックをやっていました。何の質問もせずに当てるのですから、当てられた人はみんなデビッド・ブレインのことを本物の超能力者かと思うくらい驚いていました。
実は"Farky Hollis Predictis"の裏に、デビッド・ブレインが使っていた数字が書いてあるのです。ということは、この数字は1972年頃から、よく知られていたようです。 直接この予言のマジックと数字は関係ありませんが、数字を当てるのを先にやって、もしそれがうまくいけば、そこでマジックをやめたほうがよいくらいインパクトがあります。それがはずれたとき、この「予言」をやればよいでしょう。
数字を当てるものは、ちょっとした言葉による誘導をするだけで、8割以上の率で成功します。