ヒンズーカップ
1998/2/15
最初にインドの「カップ・アンド・ボール」です。
カップという名前は付いていますが、見た目は、どう見てもカップとは思えません。お椀を伏せたようなものに、突起がついている感じです。これって、本当にカップなのでしょうか。インドで、象につけるベルがあるのですが、それの下半分くらいを切ったもののようにも見えます。
材質は、一般的には金属ですが、「ヒンズーカップ」として販売されているものは、木製のものもあります。
現象
現象自体は、一般的なカップアンドボールと同じで、三つのカップと三つのボールを使います。
それを袋から取りだしたり、袋にしまったりしながら、ボールの消失・移動・増減などを見せます。
クライマックスは、最近では西洋のカップアンドボールの影響を受けて、大きなボールや果物を出したりするようになりましたが、古典的なヒンズーカップでは、最後にたくさんのボールを出していたそうです。コメント
写真のものは木製で、確か三瓶さんのところの製品だと思います。十数年前に購入しました。金属製のものは、いまでもハンクリーのところで購入できるはずです。
日本の古典手妻にある、「お椀と玉」では、日本のお椀を使い、独特の手法を使います。
このヒンズーカップも構造上の特性を活かした独特の基本技法があります。上に突起があり、そこを人差し指と中指の間に挟んで持つと、持っている掌(てのひら)は開きますので、何も余計なボールなどを隠しているようには見えません。一般的なカップアンドボールに飽きた人でも、新しいテクニックなどがありますから、練習するにはよいかも知れません。
インドでは、よく大道芸人が道ばたに座り込んで芸を見せていますが、これも基本的は床に座り込んで、そこへ小さなカーペットなどを敷いて見せるのに適しています。基本技法も、正面からというより、上から見られたほうが都合のよい技法があります。参考資料としては、少し古いものですが『奇術研究 No.54』1969年に高木重朗氏が解説しておられます。洋書では、GENII(1968年)のNo.3.4でチャーリー・ミラーが彼のルーティンを紹介しています。