さっかく定規
2002/2/26
昔からあるパズルに、ちょっとしたアイディアと演出を付け加えることで、見違えるほどかわいいマジックがうまれました。
錯視の実験でおなじみの、弓のように湾曲した形のものを二つ使って、どちらが長く見えるかを試すものがあります。これはよく知られた原理ですので、マジックとして見せるのは無理です。ところがテンヨーの鈴木徹さんがこれに湾曲した定規を加え、さらにちょっとしたアイディアを混ぜることで、視覚的に大変不思議な現象が生まれたのです。
2002年2月15日にテレビ東京系で放送された番組、『たけしの誰でもピカソ』のなかで、Mr.マリックがこれをやったそうです。テレビを見た人の話では、Mr.マリックがいくつかやった「超魔術」のなかでも、これが一番うけていたそうですから、どれだけ現象としてすぐれているか想像できると思います。
私は昨日、大阪の阪急百貨店にあるテンヨーの売り場でディーラーの清水さんから見せてもらい、びっくりしました。このマジックは半年ほど前、考案者の鈴木さんから頂いていたのですが、実演を見る機会がなかったため、これほどおもしろくて、不思議なマジックになっているとは夢にも思わなかったのです。
この「さっかく定規」は商品として販売されたのではなく、テンヨーのキャンペーン用のものでした。条件を満たして応募すると無料でもらえるのですが、詳細についてはテンヨーのサイトで確認してください。
現在(2002年2月26日)、期間限定販売ということで、テンヨーのディーラーがいる売り場でも1000円で販売されています。予定では3月末までということですが、在庫がなくなればその時点で終了するそうですので、ほしい方はすぐにショップに行くか、テンヨーに直接申し込んでください。
ざっと現象を紹介します。
トップの写真にあったような、湾曲した板に赤い首輪をしたネコと、青い首輪をしたネコが描かれたものがあります。それともうひとつ、同じように湾曲した定規があります。目盛りは7cmまで計れます。
まず赤い首輪のネコの長さを定規で計ると7cmを越えています。定規より長いのです。もうひとつ、青い首輪をしているネコを計ってみると、こちらは7cmに足りません。
この青いネコを引っ張ると、少し伸びたように見えます。青いネコをテーブルの上に置いたまま赤いネコを手に持ち、青いネコの上をゆっくり通過させるだけで、赤いネコが描かれた板がスーッと小さくなってゆくのがはっきりと見えます。ここが一番驚くところかも知れません。
実際定規に当ててみると、先ほど7cmを越えていたはずの赤い首輪のネコが7cmより短くなっています。そして青い首輪のネコは7cmを越えています。
観客に手渡して、二つをピッタリ重ねてもらっても、実際に青が1cmほど長くなっています。
補足:写真ではネコの前に、赤と青の丸いボールのようなものが見えていると思います。これは清水さんのアイディアです。首輪だけだと細いため、違いがはっきりしないのですが、このような大きなシールを貼っておくと、一目でわかります。このシールを貼ってから、観客が勘違いしなくなったそうです。