サンフランシスコのフィッシャーマンズ・ワーフ（魚貝類のおいしいところ）に行ったとき、土産物屋と並んで、マジックショップがありました。場所はフィッシャーマンズ・ワーフで一番賑やかなジェファーソン通りです。観光地の中にありますので、中にいる客もマジックをやっている人というより、大半は通りすがりの観光客です。ジャグリングの道具や、ギャグ、マジックの道具が同じくらいの割合で置いてある店です。そのため、マジックの専門店という雰囲気ではありませんが、一通り基本的な道具は揃っていました。
格別目新しいものもないので、何も買わずに出ようかと思いましたが、以前から気になっていた「ニードル・スルー・アーム」($30.00)が目に付きましたので、つい買ってしまいました。買ったらおまけとして、ステージなどで使う「血」の入った小瓶をプレゼントしてくれました。（買えば3ドル程度）
あまり趣味のよいものではありませんが、以前、Mr.マリックがＴＶでやっているのを見たとき、いかにも痛そうなので、どんな仕掛けになっているのか知りたかったのです。
★現象
２５センチほどの長さの針があります。これを腕に直接突き刺すという、少々荒っぽいトリックです。下の写真のようになります。このように針が腕に刺さった状態も、抜くところもはっきり見せることが出来ます。刺さっている状態では、前後、左右、上下、どこから見られても大丈夫です。刺したところからは血も吹き出しています。
最後はこの針を抜いて、タオルなどで血を拭いて、終わります。 刺して行く瞬間は見せられないこともないのですが少し角度などに制約があります。実際には数秒で「刺せ」ますので、慣れればできると思います。
これは針が途中で折れ曲がるとか、中に引っ込むというものではありません。抜いた後、針を観客に渡して調べてもらうこともできますが、血の付いた針など気持ちが悪いので、誰も調べようとはしません。
★コメント
実際に見ると、かなり気持ちの悪いトリックです。勿論、本当は全然痛くもありませんし、傷もつきません。しかし、見ている人の中には思わず顔をそむける人もいます。公園などで大道芸を見せている知人が、小さい子供相手にこれを見せたら、泣いて逃げていったそうです。見せる相手は十分考慮してください。
私自身も、今までこれを真面目に見せたことはありません。おそらくこれからも実演することはないと思います。タネを知りたかったので買っただけです。
原案者の解説を読むと、色々と注意事項が書いてありました。
「このトリックが気に入って、継続的に行なうのであれば、演技の後、ビタミンＥの入った軟膏かアロエ軟膏を”患部”にぬりつけておくこと。毎晩、腕の毛をよく剃ること。そして体調を整えるために、偏食せずにしっかり食べること。五体満足であることを母親に感謝すること」等（笑）。
マジックの解説書に、「偏食するな」とアドヴァイスしてあるものなどはじめて見ました。
このアドヴァイスを読むと、まるで本当に傷口が出来るような気がするでしょう。実際には何の傷もできませんが、ある薬品を皮膚に塗るので、継続的に行うのであれば皮膚が荒れることは間違いありません。それで上のような注意が必要になってくるのでしょう。
タネに使う、ある薬品の濃度を調節するのに、何度か練習が必要です。あまり何度も試していると、皮膚がただれてきそうで、気持ちの良いものではありません。
悪趣味の典型のようなマジック（ジョーク）ですが、客を驚かすのが目的であるなら成功するでしょう。写真でみるとよけいに気持ち悪いので、載せないでつもりでしたが、実際、どんなふうに見えるのか知りたい方もいらっしゃるでしょうから、あえて紹介しておきます（笑）。
★最後に一言
最近（半年ほど前）、これのヴァージョンアップしたものが発売されていました。それは買っていませんので、具体的にどこがヴァージョンアップされているのか不明です。
なお、この古いヴァージョンでは、購入しても誰でも出来るとは限りません。体質によっては刺さりにくい人もいます。（笑） 具体的には筋肉質で、腕が張っている人は無理でしょう。これが一番適しているのはお年寄りです。特に、腕などがシワだらけの人なら何の抵抗もなく「刺さり」ます。
写真を撮るとき、私も含めて周りにいる数名の腕をチェックしましたが、どうにも適当な腕がないのです。しょうがないのでどこかに年寄りはいないかと探していると、ちょうどうまい具合に近くおふくろがいました（笑）。と言うわけで、うちの母にモデルを頼みました。上の写真はおふくろの腕に針を刺しているところです（汗）。
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