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白磁のつぼ?!


白磁のつぼ?!


2005/5/2(追加情報)
2005/4/8



 浜松で小児科のクリニックをされているプー博士こと池田信彦氏から大きな包みが届きました。異常なくらいの厳重さで、梱包材や緩衝材がぎっしり詰まっています。少しずつ取り出していくと、中から白いつぼが現れました。最近中国にでも出かけられて、白磁のつぼでもおみやげに買ってきてくださったのか……。つぼを持つ手も思わず震えながら、恐るおそる取り出しました。

 添えられていた手紙を読むと、鎌倉時代の白磁のつぼ……、ではなくて、「ルビンのつぼ」であることがわかりました。二つ作ってもらったので、そのうちのひとつをプレゼントしてくださったのです。また先日、うちの家でちょっとした祝い事があったので、そのお祝いもかねてプレゼントしてくださったようです。

ペンローズの三角形:Penrose Triangle

  プー博士からは以前「ペンローズの三角形」(上の画像)もいただきました。錯視の本や、デパートのイベント会場でこの種の特集があるとき、見ることはあっても、それを自分で作ってしまうのですから、好奇心の旺盛さでは人後におちないつもりの私でも脱帽するしかありません。

 アメリカではジェリー・アンドラスが広大な牧場のあるテキサスの家に、数多くの不思議なものを作って訪問者を驚かせているそうです。ありがたいことに、我が家にもこれまでにプー博士から送っていただいたものがかなりの量あり、それだけでひとしきり遊べるくらいありますから、浜松のクリニックはアンドラスの牧場と同じようなことになっているのではないでしょうか。

 「ルビンのつぼ」はかなりよく知られていると思いますので、詳しい解説は割愛します。これを見ていると、人の心は「思いこみ」で見えるものが見えなくなるということをあらためて感じずにはおれません。あのつぼを写真に撮って画像処理をほどこしたものを見せると、最初につぼが見えた人は両側にいる人間の顔に気がつきません。また先に人間が二人向かい合っていると思ってしまうと、中央のつぼが見えません。

ルビンのつぼ

 錯視など、この種のものが好きな人でも、花を生けてさりげなくテーブルの上に飾っておくと、これが「ルビンのつぼ」とはまず気づかないでしょう。

 上の画像をじっと眺めていると、妙な気分になってきます。つぼがなくなったとき、「顔」も消えてしまいます。顔はどこかに行ってしまったのでしょうか。それともつぼはなくても、いつでも向き合った顔はあるのでしょうか。

★2005/4/11 追加情報

 今、大阪の心斎橋大丸でエッシャー展が開催されています。私は今日、行ってきました。

 (M.C.エッシャー展  視覚への挑戦):2005年4月6日(水)〜18日(月)

 会場ではエッシャーの初期の絵から、晩年のものまで数多く転じされていました。スペインのアルハンブラ宮殿で見たモザイク模様に刺激され、現在よく知られているエッシャー独特の平面分割の絵や、「だまし絵」に移っていった変遷のようすもよくわかります。途中、「ルビンのつぼ」や「ペンローズの三角形」を心理学的に言及した解説がありました。

 1915年、デンマークの心理学者、E.ルビンは「花びんと横顔」の絵(ルビンのつぼ)を提示し、はじめて心理学の見地から視覚による「図と地」の関係を明らかにしました。

 この絵は花びんの絵、または向きあった二人の横顔としても見えます。一方を図として見ると、他方は地(背景)となり、同時に両方を図として見ることができません。つまり、どちらかを背景と見てしまうと、もうそれは背景以外には見えず、残った部分が図となります。

 この、ひとつのものがいくつかの意味を持つことを多義性とよび、エッシャーの絵もこの多義性を表現しています。また、解説ではゲシュタルト心理学との関係にも触れていました。

★2005/5/2 追加

 読者の方から「ルビンの壺」に関連して、メールを頂きました。インターネットの世界ではまじめに「錯覚」や「錯視」について研究しておられる方もあり、そのサイトの掲示板にあった話です。

 ざっとあらすじだけを説明すると、ある方が整体院で、そこの院長からティッシュペーパーを丸めてボール状にしたものを見せられ、何個に見えるとたずねられたそうです。1個になったり2個になったりしたため、この方はわけがわからなくなり、帰りに道を間違えるほど混乱したそうです。

 そして相談として、「なぜこんなことが起きるのか」という質問がありました。

 親切な回答者がいて、「両眼の視差?の調節がうまく行かず、両目に1個ずつの像が見え、結果的に2個と認識されるのでしょうか? 続いて離して手を開ければ正常に1個に見えるのではと愚考しますが」とありました。

 これって「アブセント・マインド・プロフェッサー」を思い出しませんか?専門家というのはつい自分の領域で物事を考えてしまうため、普通に考えればどうってこともない現象を深読みしてしまって、わけのわからない解答を引っ張り出してくることがあります。

 先の相談者が見たのは完全にマジックです。「四つ玉」をティッシュペーパーで演じるというネタです。即席マジック風「シカゴの四つ玉」です。以前どこかで販売されていました。見た目はティッシュペーパーを丸めて作ったボールですが、基本的には一般的な「四つ玉」と同じです。うちの引き出しのどこかに、このネタが眠っているはずです。

 それにしても、すごい解釈があったものです。


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