something interesting

1997/11/16


Neither Blind Nor Stupid

Juan Tamariz


今年(1997年)、タマリッツのビデオがA-1 MULTIMEDIAより発売されました。
"Juan Tamariz Lessons in Maigc"(全3巻セット$84.95)です。このビデオは全編大変おもしろく、購入しても決して損しません。

第1巻の最初で、"Neither Blind Nor Stupid"というマジックをやっています。これが無茶苦茶不思議でおもしろかったので紹介します。

よくできたマジックの常ですが、タネを知ったら呆れるほど簡単な原理でした。現象とタネの両方に感激したのは久しぶりのことです。

まだご覧になっていない方のために、現象のアウトラインだけざっと紹介します。

★現象

観客から二人出てきてもらい、手伝ってもらう。一組のトランプを観客の前に置いて、何度もカットをしてもらい、十分満足したら、トップからそれぞれの観客に一枚ずつ取ってもらい覚えてもらう。覚えたら、またトップに戻してもらい、よくカットする。デックを二組に分け、それぞれの観客によくシャッフルしてもらう。術者はそれを受け取り、裏向きに2枚のカードをテーブルに出す。それが観客のカードです。

★コメント

これはアウトラインだけを紹介すると、おもしろくも何ともない思います。要するに二人の観客にカードを取ってもらい、それを当てるというだけのものです。タマリッツはこれを題材にして、「骨組み」になるマジックに、どのようにプレゼンテーションを付け加えるのかを説明しています。アウトラインだけではただの退屈なマジックが、どのようにすれば1級の、「金の取れるマジック」になるのかを説明しています。

ただ気をつけて欲しいのは、タマリッツが演じているのは彼にあったプレゼンテーションです。自分で工夫して作り上げたものです。このビデオを観た人が、タマリッツと同じような演出でやってもダメですよ。結局一番大切なことは、自分のキャラクターやあなたが見せる客層によって、自分自身で作り上げるしかありません。

ネタに関して言えば、マニアがこれを見ると、「何であれだけカットとシャッフルを繰り返しているのに当たるの?」と思うでしょう。それなのに、タネを聞いたらあきれました。セルフワーキングトリック(注:テクニックを使わないマジック)なのに、とても不思議に見えます。

セルフワーキングなので、余計な気を使わなくてもよい分、プレゼンテーションに集中できます。
初心者に教えてあげるにもぴったりのマジックですから、これからの宴会シーズンに便利でしょう。


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