談話室|設計 Note

迎える


しばらく前、あるお宅へ仕事上での訪問の際、玄関アプローチの延べ段、飛び石は、美しく掃き清められ水が打たれていました。

茶の作法では当り前の事でしょうが、こんな伝統が現在にも生きている事におどろきと緊張を覚えました。

たったそれだけの事で、訪れる人に、歓迎の意図を伝え、訪れる側はその気持ちに感謝し、次に続く対面に心の準備をうながされます。

玄関は人を迎え、また拒む、対極にある二つの性格をもつ空間であり、その造り、使い方で、無言のうちに多くの事を伝えます。

人は決意に満ちて進む時もあれば、立ち止り、迷い、後ろをふりかえる事もあります。
人を迎える玄関は、開けるか閉ざすか、のみではなく、多様な心の有り様にしなやかに対応出来るしつらえでありたいものです。