鈴木政吉 (1931年)
  今回は談話室の常連、NAHAさんの2本目、鈴木政吉を紹介します。
【本文はオーナーから届いたメールです】

●鈴木政吉-1


外観です。シェイプは不思議なひょうたん型で、
上下の張り出しの幅にあまり差がありません。
弦はピンで止める方式ですが、もともとスチール弦仕様だったように思います。
というのも、いろいろと資料を当たると、戦前の日本では湿気が多いため、
羊の腸を加工した本式のガット弦では持ちが悪く、
スチール弦からギターが発展した、とあるからです。
したがってガット・ギターが日本で本格的に普及し始めるのは、
オーガスティンによってナイロン弦が製造された、戦後からのことになるそうです。

(2)●鈴木政吉-2

バックです。ご覧の通り、ビッシリと虎目が入っています。
チラリとしか見えませんが、サイドも虎目がビッシリ。
すなわち、バイオリンと基本的に同じ素材を用いて作られているわけです。
ネック材は黒く塗られているためわかりません。

●鈴木政吉-3

付属していたのは、オールドのマーチンなどに見られる棺桶(コフィン)型ケースで 
す。
おそらく檜製で、不思議な素材(天然の樹脂を加工した、グッタペルカあるいはバル 
カナイトではないかと思うのですが)で覆われていますが、すでにボロボロです。
ところが内張は非常にしっかりしており、古さを感じさせません。

●鈴木政吉-4

ラベルです。弦を張ったまま撮影したので、ちょっと見づらいですが、
「No.306  Nagoya 1931」と印刷とペンで書き込まれているのが見えます。
手に入れた後、ヤマハのコンパウンド弦を張ってみましたが、音量は小さいものの、リバーブがかかったような、深く澄んだ音がします。現代的なアコースティック・ギターの音とはまるで異なりますが、これはこれで非常にいい音だという気がします。


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