<2005.05.24 K.Kotani>NEW BOOKS のだめカンタ−ビレ12巻


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2005年05月24日

NEW BOOKS のだめカンタ−ビレ12巻




「のだめカンタ−ビレ」講談社発行・二ノ宮知子 1-12巻各390円
 怪作「平成よっぱらい研究所」の著者・二ノ宮知子「所長」が描く音楽まんが。アニメーションとはまったく関係がない。が、「表現」というものを考える上で非常に面白い。映画や小説、美術(そしてアニメも)などは作者が作った形でそのまま受け手に供給される。しかし音楽は作曲家が音をイメージし、そのイメージした音を楽譜に書き込む。その楽譜を見て演奏家が作曲家の意図を解釈し、音を組み立て演奏する事によって始めて受け手に作曲家のイメージが伝わる。この漫画の主人公は演奏家だが、(作曲もするが)曲の解釈をしながら表現をするという立場にあって、「表現」て何? という事が非常に分かりやすくこの漫画の中では表現されている。(もちろん漫画は「音」は出ないので、音楽は「観客」を描く事により表現されている。よだれたらすなコラ)
 この漫画のおかげでクラシックのCDも大いに売れているそうで、(といってもこの漫画に登場する曲だけかもしれないが。AMAZONでリストの超絶技巧練習曲のCDを引くとベートーベンの「春」やらラフマニノフのピアノ協奏曲やらが「このCDを買った人はこういうCDも買っています」のところにずらずらと並ぶ。)ダイソーの100円CDコーナーでクラシックだけがごっそりないのもこのせいかと思ってしまう。
 新聞の投書欄を見ると中学生のクラブ選択の理由にまでなっているそうだ。
 11巻あたりから「表現」をめぐる物語の展開がえらい事になっていて、いままで複数のキャラクターに分割されて負われていたものがレベルが上がるにつれて主人公の上にどさっと乗ってきて(その分新キャラも出てくれているのだが全体の進展の前には追い付かず)単行本の刊行ペースも落ちていて、昔の「エースをねらえ!」第二部の「こんな漫画書いていて作者大丈夫か」という状況を思わせるものがある。(ちなみに御存じのとおり山本センセはあちらの世界に行ってしまいました。)
 「表現」にたずさわっている方はふつーにマンガ読んでる方とは違った楽しみ方ができると思います。(楽しむどころでない?) 12巻では新キャラの画家のオジサンは音楽を「絵画」で表現している所を漫画で表現されていて「裏軒」のチャーハン並みのいい味でています。
 古本屋にはほとんどないので、取りあえずという方はマンガ喫茶でお読み下さい。

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