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関西自主アニメサークル史 3HEAD>
アニメーションワークショップ 79-85?
1978年、京都から四人の女性が、東京のアニメーション制作講座、「アニメーションワークショップ」を受講するため上京した。そのうち一人はプロのアニメーターとなったが、残りの三人は、京都において、「アニメーションワークショップ京都」を作り、関西におけるアニメーションワークショップの開講を目指し、活動を開始した。代表者は松本喜世子さんで、高森郁子さんと福島敦子さん(NHKのアナウンサーだった方ではありません!)がメンバーであった。
翌年の79年の夏、三人の努力はアニメーションワークショップの大阪開催として結実する。会場は大阪デザイナー学院、ビクタービデオセンターであった。講師には中島興・尾崎真吾・古川タク・林静一の各氏が当たった。また、当初田名網敬一氏の講座が予定されていたこともあり、東京からわざわざ参加された方もいた。当時同志社アニメ研の大迫照久氏の提唱でスタートしていた京都アニメーションプラントの協力もあり、同志社アニメ研、アニメ塾からのスタッフ応援も受けて、講座の人手はある程度足りていた。しかし、会場が無償で借りられたりしていたのに、講座自体は大赤字となったようである。講師の一人中島興氏が無料で貸してくれたトレスコープ(ビデオの画面を静止させ、動画用紙を乗せてトレスし、実写の動きをコピーする機械。)も、東京から大阪まで往復の運送費は当然かかるわけであったりする。また、2日ずつ4名の講師を招いての連夜の宴会はスタッフ・受講生の体力を急速に消耗させ、途中からは宴会は1日おき、間の日は普通のお茶会となったりした。この時使用されたコマ撮り装置は、Uマチックビデオコーダーにコントローラを接続してコマ撮りするというもので、ビデオでのコマ撮りの先駆けとなったものであった。
この最初の講座を受講していたのが、その後アニメーションワークショップを支えていく一人の秋山好正さんであった。秋山さんは当時PAFにSFパロディ特撮作品「スペースラブストーリー予告編」を出品してバカ受けしていたりしていた。そして、「レッドハラー」というタイトルの特撮作品を企画中で、そのタイトル部分を制作するため、受講した、と当時本人は語っていた。また、「アニメも特撮だ」とも豪語していた。
80年には前年の受講生が中島興・尾崎真吾・古川タク・林静一・岡本忠成の5氏を招いて講座は開催された。81年には同志社アニメ研の平松健さんを中心としてアニメーションワークショップの組織化が計られ、中島興・尾崎真吾・福島治・林静一・岡本忠成の5氏を招いてメンバーが夏のワークショップの開催を続けた。
翌82年には、福島治・古川タク両氏の「春のワークショップ」尾崎真吾・林静一・岡本忠成の3氏の「夏のワークショップ」とまんがまつり並みの勢いの講座開催となった。受講生をスタッフとして吸収し、戦力が充実した事と、当時は自主制作講座がまだまだ多くの人を集めえる状況にあった事もある。
83年、代表は秋山さんに変わったが、この年のワークショップは、福島治・古川タク両氏の講師による合同講座となり、従来の5講座から1講座に縮小開催となった。募集のチラシも活字の印刷から手書きのコピーとなった。また、ビデオコマ撮り装置も従来のものではなく、普通のビデオデッキを録画ポーズにしておいて、一時停止ボタンをポンポンと押して数コマずつ録画していくという簡易方式となった。この年を最後に、秋山さんは東京にアニメの仕事をするために行くことになり、アニメーションワークショップ大阪の運営を離れる事になる。
翌年は83年の受講生・荒木慎司さんが有志を集め、神戸で林静一さんを招いての講座を開催した。この年のスタッフは同アニの藤田さん一人で、荒木さんは受講生兼代表という形になった。
その翌年、第一回きんめまつり開催時に開催される予定だったアニメーションワークショップは、結局スタッフがいないため、近メ協事務局による開催となり、過去の制作した作品を上映するという形での参加となった。
その後、関西では自主講座としてのアニメーションワークショップはついに開催されなかった。秋山さんは広島国際フェスや、仙台でワークショップ講師などを勤めた後、東京でのアニメ作家生活に見切りをつけ、欧州を回ったり、徳島アニメ学校の講師を勤めたりした。現在ではクロアチアに定住し、ザクレブのフェスの手伝いなどをされる予定だそうだ。また、広島国際フェスでは、ワークショップの講師をされていない時も、必ず玄関ホールの一角に「驚き盤」コーナーを作って、参加した方々に驚き盤を作らせている。
また、最後の講座の受講生、田中志摩子さんは、その後名古屋で自主アニメサークル「楽描倶楽部」の創設に参加した。また、同じく波田悦子さんは、京都地球倶楽部に参加のち、アニメ自主制作関係のイベントの手伝いなどもされているそうである。
(文責小谷)
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